試合分析・戦評
J1第29節、横浜F・マリノスと川崎フロンターレによる「神奈川ダービー」は、41,000人を超える観客が詰めかけた日産スタジアムで開催された。結果は0-3で川崎Fが快勝し、両チームの現状を如実に示す一戦となった。
試合は立ち上がりから動いた。前半4分、川崎Fはファンウェルメスケルケン選手の縦パスを受けた伊藤達哉選手が鋭い切り返しから左足で先制ゴール。ここでアウェイ側が勢いに乗ると、前半を通して主導権を握り、横浜FMは自陣に押し込まれる時間が続いた。GK朴一圭選手の好セーブもあり追加点は許さなかったものの、横浜FMは攻撃の形を作れず、前半をシュート枠内ゼロで終える苦しい展開だった。
後半に入っても流れは変わらず、川崎Fが押し込む展開。横浜FMは角田涼太朗選手のロングフィードからディーン・デイビッド選手を起点に最大の決定機を迎えたが、植中朝日選手のシュートは枠を大きく外れてしまい同点のチャンスを逃す。すると62分、PKを与えてしまう痛恨の場面が訪れる。鈴木冬一選手がファウルを犯して退場となり、PKをエリソン選手に決められて0-2。数的不利を背負った横浜FMは、その後も攻撃の糸口を見つけられないまま試合を進めざるを得なかった。
終了間際には交代出場の宮城天選手に3点目を奪われ、試合は0-3で終了。川崎Fがアウェイで圧倒的な内容を見せて3連勝を飾り、上位戦線に食い込む勢いを示した。一方の横浜FMは、攻撃陣の迫力不足とパスの精度を欠いたこと、加えて退場で数的不利となったことが大きく響いた。残留争いの中での直接対決を落としたことで、今後の戦いにさらなる修正が求められるだろう。
これからに向けて
横浜FMにとっては悔しい完敗となったが、悲観する必要はない。特に前半から後半にかけて角田涼太朗選手の縦パスやディーン・デイビッド選手を起点とした攻撃には光明が見えた。大観衆の前で試合を経験した若手選手にとっては貴重な糧となり、終盤の植中朝日選手や宮市亮選手の積極的な仕掛けもポジティブな材料だ。退場で試合の流れを失ったが、逆に「規律を守り切る大切さ」を再確認できたことは、チームの成長につながるはずだ。残り試合では勝ち点を積み重ねるために、前線の連携とフィニッシュの精度向上が鍵となる。ホームにこれだけのサポーターが集まり、最後まで声援を送り続けてくれた事実は、チームにとって大きな力だ。次節以降、彼らの声を後押しに、一丸となって残留争いを勝ち抜く姿勢を見せてほしい。
川崎Fにとっては内容・結果ともに満点に近い一戦となった。序盤に伊藤達哉選手が先制点を決め、続いてエリソン選手がPKを沈めるなど、好調なアタッカー陣が力を発揮。途中出場の宮城天選手がダメ押し弾を決めた点も、層の厚さを示す象徴的なゴールだった。守備陣もファンウェルメスケルケン選手や佐々木旭選手らが集中を切らさず、終始安定感を見せたのも収穫だ。特にGK上福元直人選手のセーブは、チーム全体に安心感を与えていた。リーグ終盤に向けて3連勝と勢いを得たことで、上位進出への現実味はさらに増した。攻撃のバリエーションも増し、交代選手が結果を残せる理想的な状態にある。ダービーを快勝した自信を胸に、今後も一戦一戦を確実にものにしていくことで、ACL出場圏やさらに上を狙える位置につけるはずだ。
SNSの反応
横浜F・マリノスサポーター
「退場が試合を決めた。あの場面が本当に悔しい」
「枠内シュートがほとんどなかったのは課題。攻撃の形を作れていない」
「角田選手や宮市選手が戻ってきたのはポジティブ」
「残留争いは厳しいけど、サポーターは最後まで信じて応援する」
「ホームで4万人超えの雰囲気は最高。次こそ勝利を見せてほしい」
川崎フロンターレサポーター
「伊藤選手もエリソン選手も止まらない!最高のダービー勝利」
「数的優位になっても油断せず3点目まで取ったのが素晴らしい」
「宮城選手のゴールは胸熱!若手が結果を出してくれるのは嬉しい」
「守備も安定していたし、これぞフロンターレという試合」
「この勢いで上位食い込みを期待したい。ACL圏内いける!」