試合分析・戦評
J1第27節、名古屋グランパスは豊田スタジアムに川崎フロンターレを迎え、4万人を超える観衆の前で激闘を繰り広げた。試合は開始早々から川崎Fが主導権を握り、7分に伊藤達哉選手、18分にエリソン選手がゴールを決めてリードを奪った。特にエリソン選手の得点は、細かいコントロールと鋭いシュートが光る一撃で、アウェイチームに勢いをもたらした。名古屋は守勢に立たされながらも、32分に高校生の森壮一朗選手が稲垣祥選手のクロスに頭で合わせゴール。さらに前半アディショナルタイムには森島司選手の展開から原輝綺選手が決め、2-2の同点に追いついて折り返した。
後半に入ると試合は大きく動いた。51分、キャスパー・ユンカー選手が不用意な接触で退場となり、名古屋は数的不利に陥る。川崎Fはボールを支配し続け、圧倒的なポゼッションで名古屋ゴールを脅かした。エリソン選手は後半35分に再びゴールを決めて勝ち越したが、その直後に名古屋は永井謙佑選手の突破から和泉竜司選手がネットを揺らし、意地を見せた。しかし最後はアディショナルタイム、川崎Fの伊藤達哉選手がドリブル突破から決勝点を奪い、3-4で川崎Fが勝利を収めた。
試合全体では川崎Fが18本のシュートを放ち、攻撃の厚みを示した。一方の名古屋も10本のシュートを放ち、少ないチャンスを確実にゴールへとつなげる粘り強さを見せた。ユンカー選手の退場というアクシデントが試合の流れを大きく左右したことは否めないが、数的不利の中で同点に追いついた名古屋の戦いぶりにはスタンドからも拍手が送られた。最後の一瞬の集中力の差が勝敗を分けたが、内容としては互いの持ち味が存分に発揮されたスリリングな一戦となった。
これからに向けて
名古屋にとっては苦しい4連敗となったが、光明も多く見えた試合だった。まず、森壮一朗選手という高校生アタッカーが堂々とプレーし、貴重なゴールでチームを勢いづけた点はクラブにとって大きな財産である。また、復帰した藤井陽也選手や新加入の木村勇大選手がスタメンで起用され、チームの新しい骨格づくりが進んでいることも心強い材料だ。さらに、数的不利の中でも永井謙佑選手と和泉竜司選手が決定的な仕事を果たし、選手たちの諦めない姿勢が示された。結果は悔しいものの、豊田スタジアムに詰めかけたサポーターへ勇気を与える戦いだったと言えるだろう。残留争いを勝ち抜くには組織的な守備の安定が求められるが、今節のように若手とベテランが融合し、チーム全体で最後まで戦い抜く姿勢を継続できれば、必ず状況を好転させられるはずだ。
川崎Fは今節で4試合ぶりの勝利を挙げ、上位争いに再び食らいつく貴重な一歩を踏み出した。攻撃面では伊藤達哉選手が2得点と圧巻のパフォーマンスを披露し、エリソン選手も2ゴールと強烈な存在感を放った。加えて、大関友翔選手や三浦颯太選手といった若手が果敢に仕掛け、チームに活力を与えている点も見逃せない。中盤では山本悠樹選手がテンポを作り、橘田健人選手が豊富な運動量で攻守を支えたことで、試合全体をコントロールすることができた。守備では課題が残るものの、逆境でも自分たちのスタイルを貫き、最後まで勝利を目指す姿勢が今節の決勝点につながった。夏場の連戦でチーム力を問われる中、この勝利は自信を深める大きなきっかけになるだろう。次節以降も攻撃陣の爆発力を軸に、さらに勝点を積み上げていきたい。
SNSの反応
名古屋グランパスサポーター
「負けたけど、森選手のゴールは本当に希望を感じた」
「ユンカー選手の退場がなければ結果は違ったはず」
「最後まで諦めない姿勢に胸を打たれた」
「藤井選手が帰ってきたのは心強い」
「悔しいけど、この試合を糧にしてほしい」
川崎フロンターレサポーター
「伊藤選手とエリソン選手の2枚看板が頼もしすぎる!」
「久々の勝利、しかも劇的な決勝点は最高」
「若手がどんどん出てきて未来が楽しみ」
「守備は課題だけど攻撃力で勝てたのは川崎らしい」
「アウェイでの大声援もあって選手たちが最後まで走り切った」