試合分析・戦評
8月23日、ベスト電器スタジアムで行われた一戦は、両チームが拮抗した攻防を繰り広げながらもスコアレスドローに終わった。結果としては0-0だったが、その中には多くの戦術的な駆け引きと見どころがあった。
試合序盤、清水はシンプルに前線へボールを送り込み、カピシャーバ選手や松崎選手を起点としたクロスでチャンスを狙った。特に11分の高橋利樹選手のヘディングシュートは、福岡守備陣を脅かしたが枠を捉えきれなかった。序盤の主導権を握ったのは清水だったが、福岡は粘り強い守備でゴールを許さなかった。
20分を過ぎると流れは福岡に移る。名古新太郎選手、藤本一輝選手、ナッシム ベン カリファ選手を中心とした攻撃で清水ゴールに迫る。名古選手のボレーや藤本選手の鋭い左足シュートはいずれも梅田透吾選手の好セーブに阻まれたが、確実にリズムをつかんでいった。前半のシュート数は互角ながら、枠内を捉えた福岡がやや優位に立っていた印象だ。
後半は福岡がさらに積極的に攻め込み、上島拓巳選手のヘディングシュートや紺野和也選手のミドルシュートで決定機を作った。しかし、梅田選手の安定した守備と清水の集中したディフェンスに阻まれる。清水は61分に乾貴士選手、矢島慎也選手、北川航也選手を同時投入し、攻撃の活性化を図った。特に69分、高木蹴選手がGKと1対1のビッグチャンスを迎えたが、小畑裕馬選手のファインセーブに阻まれ、勝負を決められなかったのは悔やまれる場面だった。
試合の流れを左右したのは82分。清水のマテウス ブルネッティ選手が退場処分となり、数的優位を得た福岡はウェリントン選手を投入して空中戦に活路を見出した。しかし、住吉ジェラニレショーン選手や吉田豊選手らが体を張った守備を見せ、最後までゴールを割らせなかった清水の粘り強さも光った。最終的にシュート数は福岡15本、清水6本。ゴール期待値(xG)は福岡1.09、清水0.69とホームの福岡が優勢ではあったが、清水が守備で踏ん張り、勝点1を分け合う結果となった。
福岡はこれで9試合連続無敗と安定感を維持。清水は勝利こそ逃したものの、アウェーで強度ある戦いを見せ、守備の改善を示した一戦だった。
これからに向けて
福岡は9試合連続無敗という事実が示すように、試合運びの安定感が際立つ。名古新太郎選手や紺野和也選手を軸に攻撃の形は着実に作れており、ウェリントン選手を投入してからの空中戦で相手を押し込む形も機能した。決定力不足は課題として残るが、前線の厚みが増してきており、選手層のバリエーションを活かせるのは大きな強み。終盤戦に向けて「負けないチーム」として勝点を積み上げられる可能性は高い。守備の安定性を軸に、あと一押しの得点力を加えられれば上位進出も現実的に見えてくるだろう。
清水は苦しい流れの中でも、守備の集中力を最後まで維持し、数的不利な状況を耐え抜いた点は大きな成果だ。梅田透吾選手のファインセーブや吉田豊選手、住吉ジェラニレショーン選手の粘り強い守備はチームを救った。また、途中投入された北川航也選手や乾貴士選手が攻撃に変化を与えたことはポジティブで、今後の試合での攻撃の厚みにつながるだろう。攻撃の精度を高めることで、守備の安定感を勝利に直結させられる。アウェーで勝点1を得たこの試合は、今後の巻き返しに向けた重要な一歩と言える。
SNSの反応
アビスパ福岡サポーター
「決め切れなかったのは残念。でも9戦無敗は誇れる」
「梅田選手にことごとく止められた…相手GKがすごかった」
「ウェリントン選手投入で押し込んだけど、あと一歩だった」
「守備は安定していて安心感がある」
「ホームで勝ちきりたかったけど、内容的にはポジティブ」
清水エスパルスサポーター
「数的不利でも勝点1を持ち帰れたのは大きい」
「梅田選手がヒーロー!スーパーセーブ連発」
「高木選手の1対1、決めたかったなぁ…」
「交代選手が流れを変えてくれたのは良かった」
「厳しい試合でも粘れるようになったのは成長を感じる」