試合分析・戦評
J1第27節、味の素スタジアムで行われた東京ヴェルディ対サンフレッチェ広島の一戦は、0-3でアウェイの広島が勝利を収めた。試合は序盤から動いた。前半6分、広島はCKのこぼれ球を中野選手が押し込み先制。今季「先制時無敗」を続ける広島が、いきなり試合の主導権を握った。東京Vはボール保持率で優位に立ち、前半のポゼッションは59%と上回ったが、最後の崩しの局面で精度を欠き、決定機を決め切れなかった。齋藤選手や染野選手のシュートは大迫選手の好守や広島守備陣のブロックに阻まれ、0-1で前半を折り返した。
後半に入っても東京Vは攻撃を仕掛ける。新井選手のカットインシュートはクロスバーに嫌われ、続く食野選手の突破も大迫選手に阻まれるなど、ゴールが遠い展開に。そして62分、広島の狙い通りのハイプレスが実を結ぶ。中村選手がカットからドリブルで持ち上がり、GKマテウス選手をかわして追加点。東京Vにとっては痛恨の2失点目となった。その後も東京Vは齋藤選手や途中出場の白井選手らがシュートを放つが、広島の組織的守備を崩し切れない。83分には広島がFKを獲得し、新井選手のキックがそのままゴールに吸い込まれてダメ押し。試合は0-3で終了した。
データ面では東京Vがシュート数17本と広島を上回り、ゴール期待値も1.53とほぼ互角だったが、最後の一手の質と守備の強度に大きな差が出た試合だった。東京Vは決定力不足とビルドアップ時のリスク管理が課題として露呈。一方の広島は少ないチャンスを効率良く得点につなげる決定力と、先制後の安定感を改めて示した。残留を争う東京Vと優勝戦線に食らいつく広島、両者の置かれた立場が色濃く反映された90分だった。
これからに向けて
東京ヴェルディは敗戦こそ喫したものの、内容面では決して悲観するものではなかった。ボール保持では優位に立ち、前半から積極的に仕掛ける姿勢を見せた。福田選手や齋藤選手のドリブル突破は相手守備を何度も揺さぶり、新井選手のカットインシュートなど、ゴールに迫る場面は十分に作れていた。最後の決定力こそ課題として残ったが、チャンス自体は多く生み出せており、攻撃の形が徐々に整理されつつあるのは好材料だ。
また、守備面では井上選手が移籍後デビューを果たし、経験を積む試合となったことも収穫である。若手とベテランの融合が進む中で、次節以降は決定力不足の課題を克服できれば、勝点を積み重ねて残留圏から抜け出すことは十分に可能だ。サポーターの後押しを力に変え、ポジティブな内容を結果へとつなげたい。
広島にとっては理想的な勝ち方だった。序盤に先制し、その後も持ち味であるハイプレスから追加点を奪取。試合巧者ぶりを発揮し、リードを広げてからも集中を切らさずに堅守を維持した。中村選手の躍動はチームに勢いをもたらし、大卒ルーキーとは思えない冷静なフィニッシュで勝負を決定づけた。また、大迫選手の安定感あるセービングが光り、攻撃面では新井選手のFKが試合を締める3点目となった。
総じて、若手とベテランがバランス良く躍動したことが収穫だった。優勝戦線に食らいつくためには連勝が不可欠だが、この日のような効率的な試合運びが継続できれば上位との差を詰めることは十分可能である。攻守における安定感を武器に、シーズン終盤に向けてさらなる飛躍を狙える内容だった。
SNSの反応
東京ヴェルディサポーター
「内容は悪くなかったけど、決め切れないのが本当に痛い」
「大迫選手の壁が厚すぎた。最後の質を上げたい」
「井上選手のデビューはポジティブ。これからに期待」
「攻撃の形はできてる。次こそゴールを」
「残留へ向けて切り替えていこう!」
サンフレッチェ広島サポーター
「中村選手、頼もしすぎる!ルーキーとは思えない」
「新井選手のFKゴラッソ!最高!」
「効率のいい勝ち方、こういう試合を増やしたい」
「大迫選手が今日も神セーブ連発」
「優勝争いにしっかり食らいついてるのが嬉しい」