試合前展望
2025年3月9日、J1第5節がサンガスタジアム by KYOCERAで行われ、京都サンガF.C.(以下、京都)とアビスパ福岡(以下、福岡)が対戦した。
過去の対戦成績では京都が勝ち越しているが、直近のパフォーマンスや福岡の堅実な守備を考慮すると、互角の戦いが予想された。
京都は4-1-2-3の布陣でポゼッションを重視する戦術、福岡は4-2-3-1でカウンターの機会をうかがう形。
京都の攻撃陣が福岡の組織的な守備を崩せるか、また福岡の前線が少ないチャンスを生かせるかが鍵となる試合だった。
前半
試合は福岡ボールでキックオフ。開始直後から両チームはアグレッシブに攻撃を仕掛けた。
前半3分、京都の奥川選手がオフサイドを取られ、攻撃の流れを断たれる。福岡は前半4分、左サイドから藤本選手のクロスにSザヘディ選手が反応し、シュートを放つが、宮本選手のブロックに阻まれる。
福岡はさらに攻勢を強め、前半6分には見木選手がスルーパスを供給し、紺野選手がシュートを放つもGK太田選手の好セーブで阻まれた。京都も前半11分、平戸選手のドリブルからのシュートでゴールを狙うが、福岡GK村上選手の守備が光る。
試合が進むにつれ、京都がポゼッションで優位に立つも、福岡はコンパクトな守備ブロックを形成し、京都に決定的なチャンスを作らせない。前半30分の時点でポゼッションは京都55%、福岡45%。
前半40分、福岡のCKからの二次攻撃でSザヘディ選手が決定機を迎えるも、鈴木選手が体を張ったブロックで阻止。京都はポゼッションを握るものの、福岡のカウンターに苦しむ展開が続いた。結局、前半は0-0のまま終了し、両チームともにゴールを割ることはできなかった。
後半
後半は京都のキックオフで開始。福岡は前半の流れを引き継ぎ、後半1分に藤本選手がシュートを放つも枠を外れる。
試合の均衡が破れたのは後半20分。紺野選手がペナルティエリア内にドリブルで侵入し、左足でゴール右下に冷静に決め、福岡が待望の先制点を挙げる。この時点でシュート数は京都6本、福岡15本と、攻撃の機会は福岡に多く訪れていた。
京都も選手交代で攻撃の活性化を図り、後半22分に宮本選手と川崎選手を下げ、Pウィリアム選手とジョアンペドロ選手を投入。ジョアンペドロ選手が攻撃の起点となり、平戸選手がゴール前でチャンスを作るが、決定力を欠いた。
後半30分の時点で福岡のポゼッションが58%と逆転し、試合の主導権を握る。京都は終盤にかけてCKやクロスからチャンスを作るが、福岡の守備陣が集中を切らさず、リードを守り切る。後半54分、Rエリアス選手がペナルティエリア中央でシュートを放つも、枠を外し、試合はこのまま0-1で終了した。
総括
この試合の勝敗を分けたポイントは、福岡のカウンター攻撃の精度と京都の決定力不足だった。
京都はポゼッションを握り、特に前半はボールを保持しながら試合をコントロール。しかし、福岡の組織的な守備を崩すには至らず、シュート数8本のうち枠内シュートは4本と、チャンスを決めきることができなかった。
対する福岡は、守備ブロックを敷いてカウンターのチャンスをうかがい、紺野選手の個人技が決勝点を生んだ。シュート17本、枠内6本という数字が示すように、アグレッシブな姿勢が結果につながった。
試合全体を通じて、福岡の戦術が奏功した一戦となった。京都にとっては決定力の向上が課題となり、福岡は守備からの攻撃というスタイルを再確認できた試合だった。
今後
京都は試合を支配する力を持っている。ポゼッションとパスワークを活かし、よりゴールに直結するプレーを増やせば、勝利を手にする機会は増えるだろう。今後はフィニッシュの精度を高めることが重要だ。
福岡はこの試合で、組織的な守備とカウンターの鋭さを証明した。紺野選手を中心とした速攻の形は今後の試合でも武器となるはずだ。引き続き守備の安定を維持しながら、追加点を奪う力を磨いていきたい。