試合分析・戦評
最終節は昇格組同士の対戦となり、IAIスタジアム日本平は18,000人を超える観客が詰めかけた。試合は序盤から岡山がスピーディーな縦へのアプローチを繰り返し、特にルカオ選手をターゲットにしたシンプルかつ迫力のある攻撃で清水守備陣に圧力をかけた。前半だけで岡山は8本のシュート、そのうち枠内3本を記録し、ポスト直撃の決定機も生まれるなど、ゴール期待値(xG)では清水を大きく上回った。
一方の清水は山原選手、乾選手の左サイドを基点にボール保持の時間を伸ばし、松崎選手やAステファンス選手がペナルティエリアでチャンスに絡む形を作った。しかしフィニッシュの精度に課題を残し、前半はお互いに決め切れない展開でスコアレスのまま折り返した。
後半に入ると、試合の主導権は再び岡山へ。立田選手からのロングパスにルカオ選手が反応し、住吉選手の寄せを受けつつも左足で力強く決めて先制。この場面は岡山が狙ってきた“背後の攻略”が鮮明に結果へとつながったゴールだった。
さらに江坂選手が起点となって右サイドの木村選手へ展開し、折り返しを走り込んでダイレクトで叩き込む追加点。相手の守備組織のズレを一気に突く見事なコンビネーションで、岡山の狙いがはっきりと示された。
終盤、清水は高橋利選手のゴールで1点を返し、北川選手や小塚選手らも積極的にボックスへ侵入したが、岡山GKブローダーセン選手の好守に阻まれ同点には届かなかった。全体を通して清水は保持率こそ上回ったものの、岡山の縦に速い攻撃へ後手に回る時間が長く、シュート数・決定機・xG ともに岡山が試合を掌握した内容だった。
岡山は11試合ぶりの勝利でJ1初年度を締めくくり、清水は秋葉監督のラストマッチを白星で飾ることはできなかった。
これからに向けて
清水はボール保持の質と左サイドからの崩しに大きな強みを示した試合だった。特に乾選手と山原選手の連携はJ1でも屈指で、相手守備を押し下げる迫力とテンポは来季に向けて大きな武器となる。また、途中出場の北川選手や小塚選手が的確に前向きの姿勢をもたらし、攻撃の厚みを増していった点も明るい材料だ。
最終節こそ黒星となったものの、後半アディショナルタイムまで得点を狙い続けた姿勢はチームとしての成熟度を表しており、「崩し切る力」が整いつつある証でもある。今季の課題として残るのは、押し込んだ時間帯に確実に決め切るフィニッシュ精度と、相手の縦への攻撃に対する守備の強度。これらが改善されれば、来季は上位争いに戻るポテンシャルを十分に持つチームだ。
秋葉体制で積み重ねた「前向きに戦う姿勢」はチームの財産であり、後任監督にも確実に受け継がれるだろう。
岡山はJ1初年度ながら、最終節で示した「縦に速い攻撃力」と「泥臭く守り切る粘り強さ」は非常に大きな手応えと言える。特にルカオ選手、江坂選手、木村選手ら前線の個で突破する力と、シンプルに背後を突く明快なスタイルはJ1でも通用することを証明した。
守備面では、ブローダーセン選手が終盤の決定機を阻むなど質の高いセービングを見せ、工藤選手、田上選手らも安定感ある対応で清水の猛攻を封じ込めた。後半の時間帯に強さを発揮できる点も、シーズンを戦ううえで大きな強みとなる。
今季は中盤の負傷者や連戦によるブレーキもあったが、チームとしての方向性は明確で、来季はより高い順位を狙える可能性が十分にある。縦への推進力と決定力があるチームはJ1でも貴重であり、上積みが進めば“台風の目”となるポテンシャルを秘めている。
SNSの反応
💬◆ 清水エスパルス サポーター
「最後の怒涛の攻め、本当に胸が熱くなった。来季こそ上位へ!」
「乾選手と山原選手の左サイドはJ1でもトップクラス。得点につながればもっと強くなる」
「秋葉監督ありがとう。エスパルスを立て直してくれた」
「決め切るところの差が出た試合…でも内容は悪くなかった」
「高橋利選手のゴールは来季への希望!」
💬◆ ファジアーノ岡山 サポーター
「J1ラストで最高の試合!ルカオ選手は本当に頼りになる」
「江坂選手の2点目、美しすぎる…。J1で戦えることを証明した」
「ブローダーセン選手が神セーブ連発!本当に助かった」
「昇格初年度で13位は立派。来年はさらに期待できる」
「木村選手の成長がすごい。岡山の未来は明るい!」
