試合分析・戦評
J1第37節、味の素スタジアムで行われた東京ヴェルディと鹿島アントラーズの一戦は、タイトルを狙う鹿島にとって極めて重要な試合となった。試合は序盤から鹿島が球際の強さと前進力を発揮し、濃野選手や小川選手を起点に積極的にクロスを入れてリズムを作る。しかし前半中盤以降は東京Vがビルドアップの安定感を取り戻し、谷口選手・齋藤選手・松橋選手らが中盤でボールをつなぎ、徐々に主導権を握る展開へと変化した。実際、前半のポゼッションは東京Vが53%と優勢で、枠内シュートも互角の2本ずつと拮抗した状況で前半を終えた。
後半に入ると両者がギアを上げる。鹿島は松村選手、荒木選手といった攻撃的なカードを投入し、縦への推進力を強めた。一方の東京Vも齋藤選手を軸にペナルティエリア内での細かい崩しを試み、FKやセットプレーから決定機を作る。しかし試合を動かしたのは鹿島だった。
後半29分、相手陣でのパスミスを荒木選手が素早く回収し、レオ・セアラ選手へスルーパス。レオ・セアラ選手のシュートはGKマテウス選手が弾いたものの、こぼれ球を松村選手が左足で押し込み待望の先制点を挙げた。途中出場から見事に結果を残し、今季の鹿島の「途中出場の質」を象徴するゴールとなった。
失点後の東京Vは攻撃のギアを一段上げ、白井選手の決定機、谷口選手のポスト直撃シュートなど、幾度となくゴールに迫る。食野選手や川崎選手の投入で攻撃のテンポも上がり、CKではGKマテウス選手も前線へ参加する総攻撃を見せた。しかし鹿島の早川選手のビッグセーブ、植田選手・鈴木選手らの集中したブロックでゴールは割れず、試合は0-1で終了した。
鹿島は「先制時の勝率85.7%」というデータを裏付けるように、リード後のゲームマネジメントを徹底。東京Vは内容では互角以上だった時間帯も多かったが、一瞬の判断の差を突かれての敗戦となった。それでも粘り強い守備から攻撃に転じるスタイルは確立しており、最終節に向けて光明の見えるパフォーマンスであった。
これからに向けて
東京Vはこの試合を通して、昇格1年目とは思えないゲームコントロール力を発揮しました。特に前半中盤以降のビルドアップのスムーズさは見事で、谷口選手や齋藤選手を中心に相手のプレスを剥がしながら、左右の森田選手・内田選手が幅を取ることで鹿島を押し込む局面を多く作り出しました。後半の攻撃もテンポがよく、染野選手・平川選手・松橋選手といった前線の選手が流動的に動き、相手守備陣の背後へ果敢なチャレンジを続けた点は高く評価されます。
また、谷口選手のポスト直撃シュートや白井選手の決定機、終盤のCK総攻撃など、気持ちのこもったプレーはスタジアムの38,000人以上の観客を沸かせました。結果こそ伴いませんでしたが、内容面では十分に勝点を奪えるほどの力を示しており、最終節に向けて大きな自信となる試合でした。
特に復帰した山田選手のプレーは、チームにとって希望の象徴と言えるでしょう。負傷からの復帰という困難を乗り越え、ピッチに立った姿はチーム全体へポジティブな空気をもたらしました。
鹿島はこの重要な局面で、勝負強さを存分に発揮した試合でした。前半は相手に主導権を握られても慌てず、守備で我慢しながら試合をコントロール。そのうえで後半は交代選手がしっかりと流れを変え、松村選手という途中出場の選手が決勝点を決めるという、非常に“優勝を争うチームらしい勝ち方”でした。
特筆すべきは早川選手を中心とした守備陣の集中力です。谷口選手のミドル、白井選手の決定機、CK終盤の波状攻撃など、幾度となく訪れたピンチをすべて跳ね返し、無失点を達成しました。植田選手・鈴木選手の対人の強さ、荒木選手の攻守にわたるバランスの良いプレー、そしてレオ・セアラ選手の力強いシュートとポストプレーなど、チーム全体が勝点3への執念を共有して戦っていました。
首位で最終節を迎えるという最高の形をつくり、9年ぶりのリーグタイトルへ向けて大きな一歩を踏み出しました。勝負どころで実力を発揮できるのは、まさに伝統の “アントラーズ・メンタリティ” の表れです。
SNSの反応
東京Vサポーター
「内容は負けてなかった。最後の決定力だけ…でもこの戦いができれば最終節は期待できる」
「谷口選手のシュート、あれが入っていれば…!本当に惜しい試合だった」
「昇格1年目でここまでやれるとは誇り。スタジアムの雰囲気も最高だった」
「山田選手復帰に泣いた。これからのチームに絶対プラスになる」
「負けたけど、チームとしての成長が見える試合だった」
鹿島サポーター
「松村選手のゴール!途中出場で結果を出すのは本当に頼もしい」
「早川選手、神セーブ連発。今日のMVPと言っていい」
「内容より結果!優勝へ向けて大きな一歩」
「守備陣の集中力が凄かった。最後まで落ち着いていた」
「最終節、絶対に優勝しよう。ここまで来たら信じるだけ!」
