試合分析・戦評
Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsuで行われた第37節は、川崎フロンターレが序盤に先制しながらも、最少失点の広島が後半に逆転し、1-2でサンフレッチェ広島が勝利した。
試合は開始早々から両チームの特徴が表れた。川崎Fは伊藤達哉選手、エリソン選手、マルシーニョ選手が個で剥がしながら前進し、テンポを上げて攻撃を構築。一方、広島は越道選手と中村選手を軸にサイドで起点を作り、テンポよく押し上げる展開となった。
先制点は前半12分。伊藤達哉選手がドリブルでペナルティエリア中央に進入し、左足でゴール左下へ流し込む技ありの一撃。ここまでは川崎Fが勢いを持って試合を動かしていた。
しかし、その後はセカンドボールの争いで広島が優位に立ち、川崎Fは押し込まれる時間が長くなる。特に越道選手の縦突破と中村選手のクロスでチャンスが次々に作られ、前半だけで広島は9本のシュートを記録。前半45+4分、中野選手のクロスに川辺駿選手がヘディングで合わせて同点とした。
後半開始から川崎Fは家長昭博選手を投入し、ポゼッションと崩しの質を高めにいく。しかし、次の一点を奪ったのは広島だった。後半11分、ジャーメイン良選手のポストプレーを起点に川辺選手がスルーパス。抜け出した中村草太選手が冷静に左足で決め、広島が逆転する。
その後は広島が非常に安定したゲームコントロールを見せた。最終ラインの佐々木翔選手、荒木隼人選手、塩谷司選手の3バックが強度を維持し続け、川崎Fのシュートを最小限に抑制。最終的にシュート数は広島22本、川崎F7本と明確な差が生まれた。
川崎Fは終盤、退団が発表されたチョン・ソンリョン選手を送り出し、スタジアムは大きな拍手に包まれた。しかしスコアは動かず、広島が粘り強い守備と鋭い攻撃を両立させて勝点3をつかんだ。
広島はリーグ屈指の安定感を見せ、逆転勝利で最終節へ勢いを持ち込んだ。一方の川崎Fは攻守の噛み合わせに課題を残しつつも、個々の突破力と攻撃の可能性を随所に示した。
これからに向けて
川崎フロンターレにとっては悔しい敗戦となりましたが、「前半の先制点の形」と「投入選手による後半の盛り返し」は確かな手応えでした。特に伊藤達哉選手の突破と決定力、エリソン選手の推進力は今季終盤の川崎Fの攻撃を象徴しており、前線の破壊力は来季に向けて大きな武器になるはずです。
また、家長昭博選手が後半から入ることで、攻撃の整理・キープ力・配球の質が確実に向上し、チーム全体のリズムが安定。ベテランの存在感は今季も健在であり、若手選手達にとっては大きな学びとなったはずです。
最終ラインでは、ジェジエウ選手と車屋紳太郎選手が最後の等々力で堂々としたパフォーマンスを披露し、ホームサポーターから大きな拍手を受けた点も印象的でした。
守備面は失点が続いているものの、個々の質は決して低くなく、あとは連動性の整理が進めば改善の余地は十分あります。来季は攻撃的スタイルと守備のバランスが整えば、再び上位争いに復帰できるポテンシャルを十分に秘めています。
サンフレッチェ広島は、アウェイにも関わらず“90分間の強度と集中力を落とさない”完成度の高い試合運びを披露しました。中村草太選手と川辺駿選手を中心とした崩しの精度はリーグ屈指で、2得点はいずれもチーム全体の意図がつながった美しい連係から生まれたものです。
特に後半に見せた逆転ゴールは、ジャーメイン良選手のポストプレー → 川辺選手のスルーパス → 中村選手の決定力という広島の強みが凝縮されたシーンでした。また、越道選手のドリブル成功数は5回を記録するなど、若手の台頭も際立った試合となりました。
守備面では佐々木翔選手、荒木隼人選手、塩谷司選手の3バックが抜群の安定感を示し、川崎Fの速い攻撃に対しても冷静に対応。シュート22本を打ち切った攻撃意識の高さとともに、試合全体を通じて“勝つための戦い方”が徹底されていました。
ACLから中3日のタイトな日程にもかかわらず運動量が落ちなかったことは、チームの成熟度と選手層の厚さを証明しています。最終節に向けてチーム状態は非常に良く、今季の仕上がりとしても最高潮に近いと言えるでしょう。
SNSの反応
川崎フロンターレサポーター
「伊藤選手のゴールは本当に美しかった。来季も中心になってほしい」
「守備があと一歩…。でも攻撃の形は見えてきた」
「車屋選手とジェジエウ選手の最後の等々力、胸が熱くなった」
「家長選手が入ってリズムが変わったのが印象的」
「点は取れずとも、エリソン選手はやっぱり脅威だった」
サンフレッチェ広島サポーター
「広島の強度が最後まで落ちないのが本当に誇らしい」
「川辺選手の存在感が別格!今日のMVP」
「中村選手の決定力がすごい、若手がどんどん成長してる」
「越道選手の突破が効きすぎてた、将来が楽しみ」
「アウェイでこの内容は強すぎ。スキッべ広島の完成形が見えた」
