試合分析・戦評
ニッパツ三ツ沢球技場に11,465人の観客が集まった今節。残留争いから抜け出したい横浜FCと、上位を狙う名古屋グランパスが激突した。序盤は名古屋が主導権を握り、マテウス選手や森島選手を中心に攻撃を展開。開始6分には木村勇大選手のヘディングがネットを揺らすも、VAR判定でオフサイドに。風上を生かした攻勢が実りそうで実らない展開が続く。
一方、横浜FCは守備に回る時間が長かったが、20分にワンチャンスを生かす。福森晃斗選手の左クロスに櫻川ソロモン選手が反応し、ヘディングでゴール右隅へ突き刺した。12試合ぶりの得点で先制に成功すると、会場のボルテージは最高潮に。守備ではユーリララ選手が中盤で奮闘し、稲垣選手ら名古屋の攻撃の芽を摘み取った。
後半は、名古屋がより攻撃的な布陣に変更。徳元選手に代えて菊地選手を投入し、和泉選手をサイドに回す。何度も横浜FCゴールに迫るが、GKスウォビィク選手の好守と体を張ったブロックに阻まれた。試合の均衡が崩れたのは71分、右CKの混戦で横浜FCがファウルを犯し、PKを献上。これを稲垣祥選手が冷静に沈め、名古屋が同点に追いつく。
その後、名古屋は80分に逆転。河面旺成選手のシュートのこぼれ球に佐藤瑶大選手が反応し、左足で押し込んだ。流れは完全に名古屋に傾いたが、横浜FCは諦めなかった。90+4分、細井響選手のロングスローから混戦を経て伊藤槙人選手が豪快に左足で決める。自身の誕生日に劇的な同点弾を叩き込み、試合は2-2のドローで終了した。
名古屋は内容で圧倒し、xGでも「2.26対0.74」と大きく上回ったものの、決定力と終盤の集中力を欠いた。一方の横浜FCは、少ないチャンスを生かした粘り強い戦いで、残留に向けて貴重な勝点1を積み上げた。
これからに向けて
横浜FCはこの試合でも「諦めない姿勢」が際立った。特に、櫻川ソロモン選手のポストプレーと空中戦の強さが攻撃の軸となり、少ないチャンスを確実に得点につなげた点は大きい。中盤ではユーリララ選手が復帰し、守備とビルドアップの安定感が戻ったのも好材料だ。終盤に投入されたアダイウトン選手や窪田稜選手も推進力を発揮し、チーム全体でゴールを目指す姿勢が見えた。
また、ロングスローを効果的に使ったセットプレー戦術は、相手に脅威を与える武器となった。伊藤槙人選手の劇的な同点弾は、チームに再び勢いをもたらす象徴的なゴールだ。守備面では名古屋の強力攻撃陣を2点に抑えた粘りも評価できる。残留争いの中で、勝点1を取り切るメンタリティと集中力を維持できたことは、終盤戦に向けて大きな自信となるだろう。
名古屋は内容面で圧倒し、勝利に値するパフォーマンスを見せた。稲垣祥選手を中心とした中盤の守備バランスとセカンドボール回収力は健在で、試合を通じてポゼッション率60%超を維持。森島司選手の創造性と木村勇大選手のアグレッシブな仕掛けが攻撃のリズムを作り、複数のチャンスを創出した。
途中出場の永井謙佑選手や山岸祐也選手も流動的に動いて相手を揺さぶり、層の厚さを証明した。逆転まで持ち込んだ攻撃力は評価に値し、今後の上位争いにもつながるポジティブな要素だ。課題は試合終盤の守備集中力とゲームマネジメントだが、全体としてチームの完成度は高い。得点パターンの多様化が見え始めており、次節以降の爆発に期待がかかる。
SNSの反応
横浜FCサポーター
「最後まであきらめない姿勢に涙。伊藤槙人選手、誕生日ゴールおめでとう!」
「スウォビィク選手のセーブが何度もチームを救った!」
「櫻川選手のゴールで流れを作れた。残留へ希望が見えた!」
「ロングスローからの劇的弾、まさに三ツ沢の奇跡!」
「内容では押されたけど、この勝点1は本当に大きい。」
名古屋グランパスサポーター
「内容では勝っていたのに勝ち切れない…でも悪くはなかった。」
「稲垣選手のPKはさすがキャプテン。冷静そのもの。」
「佐藤瑶大選手の得点、DFとしても価値あるプレー!」
「最後の失点は残念だけど、攻撃の形は確実に良くなってる。」
「森島選手の動きがすごく効いていた。次こそ勝ちを。」
