試合分析・戦評
J1第32節、ベスト電器スタジアムで行われたアビスパ福岡対サンフレッチェ広島の一戦は、1-2でアウェイの広島が勝利した。直近5試合で未勝利の福岡は何とか連敗を止めたい状況だったが、前半は広島の保持力に押される展開となった。前半17分、加藤陸次樹選手のシュートのこぼれ球をヴァレール・ジェルマン選手が押し込み、広島が先制。先制した試合で無敗を誇る広島らしく、冷静に試合を進めていった。
一方の福岡は、小畑裕馬選手をGKに起用し、紺野和也選手やナッシム・ベンカリファ選手らをスタメンに据え、攻撃の厚みを出した。特にビルドアップにGKを絡める工夫や、安藤智哉選手の高い位置取りで前進の形を模索し、前半30分過ぎからはポゼッションを高めてチャンスを作り出した。松岡大起選手のシュートなど惜しい場面もあったが、広島GK大迫敬介選手やDF陣に阻まれた。
後半に入ると福岡の攻勢が強まり、名古新太郎選手の鋭いミドルや、見木友哉選手、橋本悠選手らが積極的にゴールを狙った。だが広島は守備で粘り強さを発揮。特にキム・ジュソン選手のカバーリングは際立ち、決定機を許さなかった。広島は62分に木下康介選手と塩谷司選手を投入して流れを変えると、86分には木下選手のクロスに田中聡選手が合わせて追加点を奪い、リードを広げた。
試合終盤、福岡はサニブラウン・ハナン選手を投入。Jリーグデビューとなった同選手が90+2分にヘディングでゴールを決め、ホームサポーターを沸かせたが、反撃はここまで。最終的に1-2で福岡は5連敗、広島は4試合ぶりの白星を手にした。福岡は20本のシュートを放つなど攻撃面では意欲を見せたが、決定力不足と守備の集中を欠いた時間帯が響いた。一方の広島は主力を大きく入れ替えながらも、要所を締めて勝点3を掴み、上位争いに食らいついた形となった。
これからに向けて
福岡にとっては悔しい敗戦となったが、試合内容には前進が見られた。特に前半中盤以降は広島相手に主導権を握る時間を作り出し、名古新太郎選手や紺野和也選手の積極的な仕掛けが光った。シュート数で相手を上回ったことは、攻撃のアイデアが浸透している証拠だ。また、Jリーグデビューを果たしたサニブラウン・ハナン選手が初得点を記録したことは大きな収穫であり、チームに新たなオプションが加わったと言える。連敗中ではあるが、内容面の改善と新戦力の台頭が続けば、勝点奪取は時間の問題だろう。選手たちのハードワークと粘り強い戦いぶりは必ず次節以降につながっていくはずだ。
広島は主力を大幅に入れ替えながらも、安定した戦いを見せたことが収穫だ。復帰した中島洋太朗選手がリズムを作り、田中聡選手は攻守にわたって躍動。さらに、ヴァレール・ジェルマン選手と木下康介選手という2人のFWがゴールに絡み、攻撃の厚みを示した。試合終盤には田中聡選手がダメ押し弾を決め、試合を決定づけた。苦しい時間帯もあったが、大迫敬介選手やキム・ジュソン選手ら守備陣が集中を切らさず、全員で掴んだ勝利と言える。4試合ぶりの勝利で再び勢いを取り戻した広島は、今後の上位争いに向けて大きな弾みを得た。選手層の厚さと試合運びの巧さが確認できた点も大きなプラスだ。
SNSの反応
アビスパ福岡サポーター
「サニブラウン選手の初ゴールは未来を感じさせる!」
「内容は悪くなかっただけに、勝ち点が欲しかった」
「決定力不足が課題、でも若手が台頭してきたのはポジティブ」
「小畑選手がビルドアップで効いていた、次につながる試合」
「5連敗は辛いけど、チームは諦めていないのが伝わった」
サンフレッチェ広島サポーター
「田中聡選手のゴールで勝てて最高!」
「大幅なターンオーバーでも勝ち切れたのはチーム力の証」
「大迫選手のセーブが流れを引き寄せた」
「ジェルマン選手、木下選手とFW陣が結果を残せたのが嬉しい」
「久々の勝利でACLへ向けても弾みがつく」
