試合分析・戦評
J1第31節、湘南ベルマーレと川崎フロンターレの一戦は、残留を目指す湘南と上位進出を狙う川崎Fの思惑が交錯する注目の対戦となった。立ち上がりは湘南が積極的に仕掛け、二田選手や鈴木雄斗選手が右サイドから繰り返しクロスを供給し、開始早々に複数のCKを獲得した。しかし、川崎Fは佐々木選手やマルシーニョ選手が堅実なクリアで対応し、決定的な場面は許さなかった。川崎Fは徐々にリズムを取り戻し、前半28分に山本悠樹選手の展開から三浦颯太選手がクロス。最後は脇坂泰斗選手がヘディングで先制点を挙げた。このゴール以降は川崎Fが主導権を握り、伊藤達哉選手やエリソン選手が積極的にシュートを放ち、湘南守備陣を押し下げた。
後半も流れは大きく変わらず、川崎Fが試合をコントロール。後半16分にはハンドを誘いPKを得たが、キッカーのエリソン選手のシュートはポストを直撃し、こぼれ球もGK真田幸太選手が渾身のセーブで阻止。湘南はこのピンチを凌ぎ、反撃の糸口を探った。しかし、後半35分、途中出場の小林悠選手の折り返しから伊藤達哉選手が冷静に流し込み、川崎Fがリードを広げた。直後の38分、湘南はセットプレーから池田昌生選手のFKを舘幸希選手が頭で合わせ、ホームサポーターを沸かせる1点を返した。試合は最後まで湘南が追いすがる展開となったが、川崎Fは5バックにシステムを変更して守備を固め、1-2で逃げ切った。
統計的にも川崎Fの優勢は明らかで、シュート数18本(枠内7本)、ゴール期待値3.48を記録。対する湘南は9本のシュートにとどまり、ゴール期待値も0.69と決定機の質で差が出た。それでも湘南は真田選手の好守や舘選手の意地のゴールなど、チームとしての粘りを示した。結果としては川崎Fの勝利に終わったが、両チームの置かれた状況が色濃く表れた一戦だったと言える。
これからに向けて
湘南は残留争いの厳しい状況にあるものの、この試合では序盤から積極的な姿勢を見せ、攻撃への意欲を示した点は評価できる。特に鈴木雄斗選手や中野嘉大選手のサイド突破は川崎Fを押し込む場面を作り出し、攻撃の幅を広げた。また、GK真田幸太選手の復帰は大きな収穫で、PKストップを含む複数の好守はチームに勇気を与えた。さらに舘幸希選手のゴールは、セットプレーから得点できる可能性を改めて証明した点でポジティブだ。攻撃の決定力不足は課題だが、内容面では悲観すべきではない。次節以降も先手を取る姿勢を継続しつつ、守備の集中力を高めれば勝点獲得は十分に可能だ。残留争いの中で求められるのは勝負どころでの精度であり、この試合で得た教訓はきっと今後に生きるだろう。
川崎Fにとっては、苦しい時間帯を乗り越えた上で勝点3を得られたことが大きな意味を持つ。脇坂泰斗選手の復帰即ゴールはチームの攻撃に厚みを加え、攻撃陣の多彩さを象徴した。伊藤達哉選手も持ち味のスピードと突破力を生かし、追加点という結果で応えたことはポジティブだ。また、GK真田選手の好守に阻まれた場面もあったが、18本のシュートを放ちゴール期待値3.48という数字は攻撃の質を裏付けている。終盤には守備を固める柔軟な采配も奏功し、ゲームマネジメントの成熟度を示した。PK失敗は反省点だが、それでも勝利につなげられたのはチームの底力の表れだ。今後も上位進出を狙う上で、攻撃と守備の両面で安定感を保ちながら勝ち点を積み重ねることが期待される。
SNSの反応
湘南ベルマーレサポーター
「真田選手のセーブに救われた!復帰戦でこのパフォーマンスは心強い」
「舘選手のゴールでまだ希望がある。セットプレーは大きな武器になる」
「残留争いは厳しいけど、今日の戦い方を続けてほしい」
「最後まで諦めない姿勢に胸を打たれた」
「次こそは勝点3を取りたい。内容は悪くない!」
川崎フロンターレサポーター
「脇坂選手が戻ってきて即ゴール、やっぱり頼もしい」
「伊藤選手のスピードがチームを前に押し上げてくれた」
「エリソン選手のPKは残念だったけど、攻撃の厚みは十分」
「小林選手が誕生日に結果を残したのは感動的」
「勝ち切れる力が戻ってきた。ここから連勝して上位を狙いたい」
