試合前展望
J1第8節、東京ダービーが味の素スタジアムで実現。直近の成績では東京ヴェルディが安定感を見せる一方、FC東京は不安定な戦いが続いている。両チームとも3-4-2-1を採用し、ミラーゲームとなる中、中盤の支配権とサイドの攻防が勝負の鍵を握りそうだ。前線の仕掛けやセットプレーが明暗を分ける一戦となるだろう。
前半
東京ダービーはFC東京のキックオフで幕を開けた。序盤はFC東京がボールを保持し、試合の主導権を握る展開となった。前半15分時点でのポゼッション率はFC東京が71%、東京ヴェルディはわずか29%。しかし先制点を奪ったのは、耐え忍んだ東京ヴェルディだった。
前半20分、東京ヴェルディは左CKを獲得。キッカー山見選手のキックに林選手が鋭く反応し、ペナルティエリア中央から見事なヘディングシュートをゴール左上へ叩き込んだ。少ないチャンスを確実に仕留めた形だった。
その後も東京ヴェルディは齋藤選手や染野選手を中心にカウンターから追加点を狙う場面を作り出す。特に齋藤選手は左サイドでのドリブル突破やクロスで攻撃の起点となり、FC東京守備陣を脅かした。
一方のFC東京も黙ってはいない。前半23分には佐藤選手のスルーパスに抜け出した俵積田選手が決定機を迎えるが、ヴェルディGKマテウス選手のセーブに阻まれた。しかし前半43分、佐藤選手が左足で冷静にゴールを決め、試合を振り出しに戻した。
前半のシュート数は東京Vが6本、FC東京が3本。ポゼッションではFC東京が優勢だったが、東京Vは少ないチャンスでしっかりとゴールに結びつけ、1-1の同点で前半を折り返した。
後半
後半は東京ヴェルディがボールを奪いに前線からプレッシャーを強め、攻撃のギアを一段上げてきた。すると後半7分、その積極性が実を結ぶ。ペナルティエリア内でこぼれ球に反応した染野選手が、混戦の中から冷静に右足でゴール左下へ流し込み、東京Vが再びリードを奪った。
その後も東京Vは染野選手や松橋選手のシュートで追加点を狙い続ける。松橋選手は交代直後の18分、齋藤選手のスルーパスに抜け出しシュートを放つも、惜しくもポストを直撃。得点には至らなかった。
FC東京は選手交代を積極的に行い、攻撃のリズムを再構築。マルセロ・ヒアン選手や仲川選手、東選手を投入し、再び主導権を握り返す。すると後半44分、右サイドからの安斎選手のクロスにH・トレヴィザン選手がヘディングで合わせ、劇的な同点弾を叩き込んだ。
後半のポゼッションは拮抗しつつも、時間が進むにつれFC東京が再び押し込む形に。東京Vも決して守勢一辺倒ではなく、松橋選手や齋藤選手が果敢にゴールを狙ったが、FC東京GK野澤大志選手の好セーブに阻まれた。
最終的にシュート数は東京Vが16本、FC東京が11本。期待値(xG)ではFC東京が1.63と東京Vの1.12を上回ったものの、結果は2-2の引き分けに終わった。
個人的戦評
「東京ダービー」は今季も白熱の展開となった。通算成績6勝6分6敗という完全な五分で迎えたこの試合は、両者の特徴が如実に現れた好ゲームだった。
序盤はFC東京が高いポゼッションを誇り、落ち着いたビルドアップから相手ゴールに迫ったが、東京ヴェルディはその状況を見越して守備を整え、カウンターやセットプレーでチャンスを狙う構えを取った。その戦術が前半20分に結実し、林選手のヘディングで先制に成功。しかし、前半終了間際の失点は大きな痛手となった。
後半は東京ヴェルディが前線からの守備に切り替え、主導権を奪取。染野選手が勝ち越しゴールを奪い、会場を沸かせた。その後も何度も追加点のチャンスを演出したが、決め切ることができず、FC東京に反撃の余地を残してしまう。
対するFC東京は、選手交代を駆使して戦況を打開。特にマルセロ・ヒアン選手と安斎選手の右サイドからの連携は、試合終盤にかけて東京V守備陣を押し下げる要因となった。44分に生まれた同点ゴールは、まさに狙い通りの形だった。
全体を通して、FC東京のボール保持とヴェルディの守備・切り替えという構図が続き、互いの持ち味がぶつかり合った試合だった。特に東京Vにとっては昨季に続き、終盤での勝利を逃すという課題がまた浮き彫りとなった。試合を通して内容は拮抗し、2-2という結果は妥当なものだったと言える。
今後
東京Vは守備の組織力と切り替えの速さに磨きがかかってきており、セットプレーの強さも健在。林選手や染野選手といった前線の選手が確実に得点できたことは、大きな自信につながるだろう。途中出場の松橋選手の動きも良く、層の厚さも感じさせた。今後は試合終盤のゲームコントロールをより意識することで、勝ち点3を積み重ねられるはずだ。
FC東京は劣勢な時間帯でも慌てずに攻め手を見出し、終盤に追いつく展開に持ち込んだ粘り強さが光った。佐藤選手やH・トレヴィザン選手の得点も好材料で、交代選手が流れを変えた点はチームの成熟を感じさせた。攻撃陣の連携がさらに深まれば、今後の上位進出も十分に可能だ。守備面の改善と切り替えの精度を高めることで、勝利がより近づくだろう。
SNSの反応
東京ヴェルディ
「またしても終盤の失点…。勝てた試合だけに悔しい。でも染野選手のゴールは最高だった!」
「林選手のヘディングゴール、美しかった!山見選手のキック精度も本当に素晴らしい。」
「交代選手の松橋選手、流れを変える力がある。これからのキープレイヤーになりそう。」
「全体的に守備は安定していたと思う。後は終盤のゲームマネジメントだなぁ…。」
「東京ダービーでこの内容、胸を張れる。勝ちきれなかったけど誇らしい試合!」
FC東京
「安斎選手→H・トレヴィザン選手の同点弾はしびれた!終盤の集中力、さすが!」
「佐藤選手の得点も見事だったし、交代策も効果的だった。マルセロ・ヒアン選手良かった!」
「前半のポゼッション支配は見事。あとはもう少し仕留め切る力が欲しいところ。」
「守備面はまだまだ課題あり。でも諦めずに追いついたのは大きい。」
「東京ダービーはやっぱり熱い!2-2でもこの内容なら満足。次こそ勝ちたい!」