試合前展望
2025年3月16日にIAIスタジアム日本平で行われたJ1第6節、清水エスパルス対京都サンガF.C.の一戦は、戦前から注目を集めた。
直近5試合の成績は清水が2勝2分1敗、京都が1勝2分2敗。清水はホームでの強さと過去の対戦成績(20勝4分5敗)で大きくリードしており、地の利とメンバー変更による新たな攻撃力に期待が集まった。
一方の京都も、守備的安定感と新戦力による化学反応が見られるか注目された。
前半
試合は京都サンガF.C.のキックオフで開始された。序盤から京都が積極的にボールを動かし、特に右サイドからの攻撃を中心に主導権を握る展開となった。前半1分、京都の福岡選手がペナルティエリア手前からシュートを放つも、これは枠を外れる。3分には連続してクロスを供給し、清水の守備陣を試す動きを見せた。
一方、清水エスパルスは前半10分にようやく攻撃の形を作り出す。乾貴士選手のスルーパスから松崎選手が中央に折り返すも、相手DFに防がれる。11分にはCKを獲得するも、こちらも京都DFに阻まれる。13分には北川選手がペナルティエリア内で乾選手にパスを送り、乾選手がシュートを放つも、GK佐藤選手の好セーブに阻まれた。
その後も、両チームが攻守の入れ替わりを激しく繰り広げる展開が続いた。20分時点のシュート数は清水2本、京都1本と少ないながらも、京都のポゼッションは高く、攻撃の構築が見て取れた。中盤では米本選手や福岡選手が巧みにボールを動かし、松田選手へのスルーパスが何度か試みられた。
そして前半35分、京都が決定的なチャンスを得る。松田選手が清水DF高木選手のファウルを受けてPKを獲得。キッカーのRエリアス選手が冷静にゴール右下へと沈め、京都が先制点を挙げた。この得点によって試合はさらに熱を帯び、清水も反撃を試みるが、枠をとらえるシュートは少なかった。
最終的に前半は京都が1-0とリードして終了。シュート数は清水5本、京都4本、枠内シュートはそれぞれ1本ずつ、ポゼッションは京都が56%と上回り、内容でもやや京都が優位な印象を残して折り返すこととなった。
後半
後半は清水のキックオフで再開。序盤から清水が積極的に仕掛け、乾選手のスルーパスから北川選手がシュートを放つ場面が生まれるも、京都GK太田選手が好セーブを見せる。その後も清水は北爪選手や松崎選手を中心に右サイドからの攻撃を繰り返し、得点の糸口を探る。
対する京都もカウンターからチャンスを作る。後半12分にはRエリアス選手のクロスに須貝選手が反応しシュートを放つも、ゴール右に外れる。さらに13分にはCKから原選手がヘディングシュートを放つが、清水GK沖選手がファインセーブを披露。
均衡が破られたのは後半22分。京都の原選手が右サイドからパスを送り、Rエリアス選手が巧みにジョアンペドロ選手へラストパス。これをペナルティエリア中央から左足で沈めて京都が追加点を挙げ、2-0とリードを広げた。
しかし、清水も諦めなかった。後半35分、乾選手が福岡選手からファウルを受けてPKを獲得。キッカーは北川選手。冷静にゴール左下へ決め、スコアは1-2に。スタジアムの雰囲気は一気にヒートアップし、清水は猛攻を仕掛ける。
終盤には小塚選手、中原選手、乾選手らが立て続けにチャンスを創出し、CKやスルーパスから何度もゴールを狙った。しかし、京都の守備陣はアピアタウィア選手や須貝選手を中心に集中力を切らさず、最後までリードを守りきった。
試合は1-2で終了。シュート数は清水14本、京都11本。枠内シュートも4本ずつと互角で、ゴール期待値は清水1.95、京都2.04と、非常に拮抗した内容となった。
総括
この試合は、戦術面・精神面の両面で非常に興味深い内容となった。まず、京都サンガF.C.はRエリアス選手と松田選手の連携によって前半から主導権を握り、全体の流れをコントロール。中盤では米本選手や福岡選手の運動量が効き、ボール奪取からの素早い展開が功を奏した。守備面では、GK太田選手やDF佐藤選手、アピアタウィア選手らが体を張ったプレーで相手のチャンスを遮断し、勝利の立役者となった。
一方の清水エスパルスも、後半に入り積極的な攻撃姿勢を見せた点は評価に値する。乾選手や北川選手、松崎選手らが中心となって再三チャンスを作り、後半にはゴール期待値でも京都を上回るなど、内容面では勝利に相応しいパフォーマンスを見せた。ただし、前半の立ち上がりからの試合運びにおいてリズムをつかみきれなかった点や、決定機での精度に課題が残った。
全体としては、京都が効率よくチャンスをものにし、試合を通じて主導権を逃さなかったことが勝因であった。一方、清水もホームでの意地を見せ、今後に向けた希望の持てる内容だったといえる。
今後
清水エスパルスにとっては、後半に見せた攻撃の連携とチャンスメイクは大きな収穫だ。乾選手や北川選手の動きは試合を通じて常に脅威となり、これを軸に次節以降の得点力向上が期待される。また、交代出場の小塚選手や中原選手のパスセンスも随所に光り、層の厚さを示した。
京都サンガF.C.にとっては、Rエリアス選手の決定力と原選手のサイドの推進力がチームに勢いを与えた。守備陣も集中力を切らさず、全員がハードワークで勝利に貢献した点は称賛に値する。この勝利を勢いに変えて、さらに上位進出を狙ってほしい。