2025年3月16日にエディオンピースウイング広島で開催された明治安田J1第6節、サンフレッチェ広島 vs 柏レイソルの一戦。
両チームとも3-4-2-1の布陣で臨み、広島はホームでの勝利を狙い、柏は好調の垣田選手を軸に攻撃の突破口を探る。
互いに守備のバランスが良く、僅差の展開が予想された。
前半
試合は広島のキックオフで幕を開け、序盤から互いにチャンスをうかがう展開が続いた。3分、柏の久保選手からのスルーパスに垣田選手が反応するも、得点には至らず。一方の広島も4分にはジャーメイン良選手が右サイドを突破してクロスを供給し、攻撃の姿勢を見せる。
その後、広島は中村選手や加藤選手を中心に積極的なシュートを放ち、ペナルティエリア内での崩しに迫った。特に12分には中島選手から中野選手、そしてジャーメイン良選手へとつながる連携から惜しいシュートシーンを作り出したが、枠を捉えることができなかった。
柏は10分時点でシュートがなく、攻撃面で出遅れたが、次第に久保選手や渡井選手、小屋松選手が中心となって広島ゴールに迫っていった。26分には垣田選手のスルーパスに抜け出した小屋松選手が鋭いシュートを放ったものの、川辺選手にブロックされて得点には結びつかなかった。
試合が進むにつれて、柏はポゼッションで主導権を握りはじめ、30分の時点では59%のボール保持率を記録。原川選手や熊坂選手もミドルレンジからのシュートを狙い、広島ゴールを脅かす場面が増えていった。
それでも、広島は中野選手や東選手が再三サイドからのクロスでチャンスを演出。32分には東選手の鋭いシュートが久保選手にブロックされるなど、シュート精度と守備の壁に阻まれてゴールには至らなかった。
試合終盤にはVARによるオンリーレビューが行われる場面もあり、緊張感が高まるなか前半を通じて拮抗した展開が続いた。お互いに決定機を作りながらも、最後の局面で守備陣が踏ん張り、スコアは動かずに前半を0-0で折り返すこととなった。
前半のスタッツは広島がシュート8本(枠内1本)、柏が5本(枠内1本)で、ゴール期待値は広島0.56、柏0.29。ポゼッションでは柏がやや優勢で、攻撃のリズムを後半につなげられるかが注目された。
後半
後半は柏のキックオフでスタートし、立ち上がりから柏が積極的に仕掛けていく。久保選手のドリブル、小泉選手や垣田選手の連携により、広島ゴール前に圧力をかけた。特に小泉選手はペナルティエリア内でのボール収まりが良く、柏の攻撃にリズムを生んでいた。
一方、広島も反撃を見せ、ジャーメイン良選手や中野選手を中心に速い展開で前線にボールを運ぶ。10分には主審によるオンフィールドレビューが行われ、試合が一時中断するなど、判定も重要なポイントとなった。
15分を過ぎると柏が再びポゼッションを高め、原川選手や久保選手のパスワークで広島の守備を揺さぶる。26分にはジエゴ選手のクロスから小泉選手がシュートを放つ決定機を迎えるも、佐々木選手の好守に阻まれた。
そして試合が動いたのは後半27分。広島の越道選手が右サイドから鋭いクロスを送ると、これに東選手が見事に合わせて左足でゴール右上に突き刺し、ホームチームがついに先制。スタジアムに歓喜が広がる瞬間だった。
追いかける柏は久保選手や仲間選手がサイドをえぐり、中央の垣田選手や細谷選手にチャンスを供給するが、広島の守備ブロックが立ちはだかる。31分には越道選手のシュートがゴール枠に当たる惜しい場面もあり、試合はさらに激しさを増していく。
そして迎えた後半41分、柏の反撃が実を結ぶ。途中出場の木下選手がクロスを送り、これに反応した細谷選手が冷静に右足でゴール左下へ流し込んで同点に。1-1とし、アウェイの柏も意地を見せた。
その後、広島はジャーメイン良選手や中島選手、佐々木選手が立て続けにゴールに迫るが、シュートは枠を捉えきれず。柏も細谷選手の折り返しから最後のチャンスを作ったが、得点には至らず試合はそのまま終了。
後半のシュート数は広島9本、柏4本(いずれも枠内2本)。ゴール期待値は広島が2.12、柏が0.88と、数字の上でも広島がやや上回る内容だったが、結果は1-1の痛み分けとなった。
総括
2025年3月16日に行われたサンフレッチェ広島対柏レイソルの一戦は、1-1の引き分けで幕を閉じた。序盤から互いに組織的な守備と素早い攻撃の切り替えを見せ、J1屈指の均衡した好ゲームとなった。
広島は序盤から積極的な姿勢を見せ、サイドを起点にした攻撃で柏ディフェンスラインを揺さぶった。中野選手や東選手のクロスに、ジャーメイン良選手や中村選手が飛び込む形が効果的で、幾度となくゴール前の脅威となった。ただ、前半はシュート精度と柏の守備ブロックに阻まれ、得点には至らなかった。
一方の柏は、垣田選手や久保選手を中心に前線でボールを収め、タイミングの良いスルーパスで広島の守備網に綻びを作ろうと試みた。特に後半から投入されたジエゴ選手や仲間選手、細谷選手らが流動的に動くことで攻撃に厚みが加わり、結果的に細谷選手の同点ゴールにつながった。
この試合ではVARとオンフィールドレビューによる判定変更も複数回あり、選手・観客ともに緊張感が漂う時間帯もあった。それでも両チームは集中力を切らすことなく戦い抜き、技術と精神力の高さを示した一戦だった。
広島は17本のシュートを放ち、ゴール期待値は2.12と攻撃面では優位に立っていた。後半27分の越道選手→東選手のゴールは見事な連携によるものだったが、その後の追加点を奪えなかったことが悔やまれる点だ。一方で、流動的な選手交代によるテンポアップ、越道選手の積極性はポジティブな材料だ。
柏はシュート9本、枠内シュートも3本に留まったが、コンパクトな陣形とカウンターの鋭さで確実にチャンスを創出した。交代選手が絡んでのゴールは、戦術的な的確さとチーム全体の層の厚さを感じさせた。守備では熊坂選手、犬飼選手、小島選手が奮闘し、幾度となくピンチを防いだ。
試合終盤には両チームとも決定機を迎え、最後まで勝利を目指す姿勢が感じられた。入場者数25,283人という熱気あふれるスタジアムの雰囲気も、選手たちのモチベーションを後押ししただろう。
引き分けという結果ながらも、両チームの特徴がよく出たこの試合は、シーズン終盤に向けた貴重なポイントになるはずだ。次節以降、さらなる成熟が期待される。
今後
この試合で見せたサンフレッチェ広島の攻撃の多彩さと、選手の連動性は非常に印象的でした。中野選手や東選手を起点にしたサイドからの仕掛け、ジャーメイン良選手の仕掛けとパスセンス、加藤選手のミドルレンジからの狙いなど、相手にとって脅威となる場面が幾度もありました。特に越道選手が途中出場で結果に直結するプレーを見せた点は、今後の戦力層の広がりを示すポジティブな要素です。
また、守備においても佐々木選手や荒木選手を中心とした対応が非常に堅く、後半は柏の反撃にもよく耐えました。結果は引き分けでしたが、試合の内容は勝利に値するものであり、次節以降も自信を持って挑めるはずです。攻撃の決定力を高めることで、さらなる勝利が見えてくるでしょう。
柏レイソルにとって、この試合の収穫は交代選手がしっかり結果を残した点に尽きます。木下選手のクロスに反応して同点ゴールを決めた細谷選手の得点シーンは、チーム全体の底力と、試合を通してブレないメンタルの強さを象徴していました。また、久保選手や原川選手の中盤での創造性、小泉選手のタメ、ジエゴ選手のサイドからの推進力も非常に効果的でした。
全体として、守備陣も非常に粘り強く、広島の猛攻をよく防ぎました。特に熊坂選手や小島選手の対応は安定しており、終盤まで集中力を保ち続けていました。ゴール期待値では劣勢でしたが、チーム全体で耐えて、最後には得点につなげた流れは、今後に繋がるポジティブな内容です。この粘り強さと交代策の的確さは、シーズン後半の上位進出に大きく寄与することでしょう。