試合分析・戦評
最終節という特別な舞台で行われたFC東京と新潟の一戦は、互いに持ち味をぶつけ合う緊張感のあるゲームとなった。立ち上がりから新潟は連動したパスワークとサイドの推進力を武器に主導権を握り、特にMモラエス選手とブーダ選手、笠井選手のトライアングルが攻撃の軸となった。前半9分、FC東京のスローインを奪った流れからMモラエス選手が鋭い軌道のミドルシュートを叩き込み、アウェイの新潟が先制に成功する。この時間帯の新潟はポゼッション59%とゲームを掌握し、積極的に前進する姿勢が際立った。
一方のFC東京は、失点後から徐々にリズムを回復。安斎選手や佐藤選手がサイドで起点を作り、室屋選手・長友選手の積極的な押し上げでライン間の侵入を繰り返す。13分の安斎選手のシュートは惜しくもポストを叩き得点とはならなかったが、ここから攻勢を強めていく。GK波多野選手の好守も光り、追加点を許さずに反撃の流れを維持した。
そして前半47分、小泉選手のパスを受けた遠藤選手が左足を振り抜くと、相手に当たりコースが変わってネットへ吸い込まれ、FC東京が同点に追いつく。ゴール期待値(xG)でも前半終了時点でFC東京0.96、新潟0.44と内容面で優位に立ち、後半へとつなげた。
後半は互いに展開を揺さぶる時間帯が続いた。FC東京は遠藤選手を中心にパスからの裏抜けを多用し、マルセロヒアン選手が何度も決定機に絡むが精度を欠いた。一方、新潟も小原選手や白井選手が再三シュートに持ち込むなど、決して受け身にならない姿勢を貫いた。ブーダ選手の直接FKが惜しくも枠外に外れた場面は、新潟サイドにとって勝ち越しの絶好機であった。
終盤は両チームが交代カードを切り、流れを引き寄せようとしたものの、互いの最終ラインの集中が勝り、スコアは動かず試合終了。シュート数15対12、枠内2対3と非常に拮抗した試合展開で、最終節にふさわしい緊張感と強度の高い攻防が続いた一戦だった。
これからに向けて
FC東京は最終節らしい気迫と、シーズンを通して積み上げてきた攻守の形が随所に見られた試合だった。特に失点後の立て直しが見事で、安斎選手・佐藤選手の推進力、遠藤選手のゲームメイク、室屋選手と長友選手のサイドの厚みなど、攻撃の連動性は明確に向上している。遠藤選手の同点弾はチームの粘り強さを象徴するゴールであり、劣勢を跳ね返すメンタリティの成長を感じさせた。
守備面でも波多野選手のビッグセーブが効き、森重選手・Aショルツ選手を中心とした最終ラインの対応は安定感があった。シーズン終盤の無敗記録はチームが確実に成熟しつつある証であり、若手とベテランが融合した“次のステージ”が期待できる。来季はこのベースをさらに高め、攻撃の精度と決定力を伸ばすことで上位争いが現実的な目標となるだろう。
新潟はアウェイながらも堂々たる戦いぶりを見せ、積極的なポゼッションと縦に速い攻撃でFC東京を苦しめた。特にMモラエス選手のミドルシュートによる先制点は圧巻で、彼の存在がチームの推進力を大きく高めていた。また、堀米選手の最終戦での力強いパフォーマンスは、チームの一体感を象徴するものだった。
攻撃ではブーダ選手や笠井選手、小原選手ら新戦力が生き生きとプレーし、来季に向けてポジティブな材料が多い。守備では藤原選手や舞行龍ジェームズ選手らが集中した対応を見せ、相手の強力なサイド攻撃をよく抑え込んだ。最終節での引き分けは勝ち点こそ1に留まったものの、来季に向けた確かな手応えを残す内容であり、若手の成長とチーム全体の連動性がさらに高まれば、上位進出も十分に狙えるだろう。
SNSの反応
FC東京 サポーター
「遠藤選手の同点弾、今季の成長を象徴するゴールだった!」
「最後まで走り切った守備、来季に期待できる内容だった」
「安斎選手のキレがすごい。来季はレギュラーある」
「波多野選手の前半のビッグセーブが効いた。守護神として頼もしい」
「決定機は多かったからこそ勝ち切りたかった!でもナイスゲーム!」
新潟 サポーター
「Mモラエス選手のシュート、あれは芸術。来季も活躍期待!」
「ブーダ選手が確実にチームの軸になってきてる」
「堀米選手のラストゲーム、胸が熱くなった」
「攻撃の形が増えてきていて来季はもっと強くなる予感」
「アウェイで堂々と戦っての勝ち点1は価値がある」
