試合分析・戦評
2025年シーズン最終節。エディオンピースウイング広島で行われたサンフレッチェ広島と湘南ベルマーレの一戦は、両監督のラストゲームという背景もあり、立ち上がりから非常にテンションの高い攻防が展開された。前半は互いにショートカウンターを軸に鋭くゴールへ向かう姿勢を見せ、広島は越道選手、中村選手、川辺選手らが積極的に仕掛けて決定機を作り出した。一方の湘南も池田選手、鈴木章選手、二田選手らが前線で起点となり、大迫選手を強襲する場面を複数作った。特に20分の1対1、37分の連続シュートは広島にとって大きな危機だったが、大迫選手のビッグセーブが失点を許さなかった。
前半のxGは広島0.74、湘南0.92と、どちらが先に得点してもおかしくない展開。守備ブロックの強度も高く、0-0で折り返したものの密度の高い45分だった。
後半は広島がポゼッションを高め、湘南陣内に押し込む時間が増える。ジャーメイン選手が起点となり、中村選手がエリア内で何度も決定機を迎えたが、湘南GK真田選手の見事な反応が阻む。流れを変えたのは両チームの交代。湘南は藤井選手を投入し、その藤井選手が右サイド深くまで侵入し鋭いクロスを入れる。これが川辺選手に当たってゴールへ吸い込まれ、湘南が先制点を奪った。
失点後の広島は攻撃的カードを投入。菅選手とV・ジェルマン選手が入り、一気にセットプレーの脅威が増す。すると86分、菅選手の精度の高いCKをV・ジェルマン選手がヘディングで叩き込み同点。さらに89分、再びCKの流れで佐々木選手が倒されPKを獲得。このPKを木下選手が落ち着いて決め、わずか3分間で試合をひっくり返してみせた。
最終的に広島は セットプレーを武器にした逆転力 を発揮し、スキッベ監督のラストマッチを勝利で締めくくった。一方の湘南も内容面では互角以上の戦いを見せ、前向きな材料を残して最終節を終えた。
これからに向けて
広島は最終節にふさわしい「勝負強さ」を存分に示した。特に途中出場組が結果に直結した点は、シーズンを通して積み上げてきたチーム力の証といえる。菅選手の高精度のキック、V・ジェルマン選手のフィニッシュ力、そして木下選手の落ち着いたPK。交代策がそのまま得点に変換される流れは、来季の武器として大きな期待を感じさせる。また、大迫選手の安定したセービング、佐々木選手・荒木選手・塩谷選手を中心とした最終ラインの堅さも健在で、上位争いを続けるだけのベースは揺るがない。
攻撃面では、中村選手・川辺選手を軸とした縦に速い攻撃と、サイドの越道選手の積極性が融合し、さらに厚みのある攻撃が期待できるだろう。スキッベ監督退任後の新体制では、これまで培ったポゼッションと切り替えの鋭さがどう発展するかが注目ポイント。逆転勝利でシーズンを締めくくったこの勢いは、来季のスタートにも必ず良い影響をもたらすはずだ。
湘南は最終節ながら、攻守両面で明確な成長を感じさせるパフォーマンスを披露した。とくに前半の守備ブロックは統率が取れており、広島の多彩な攻撃に対して粘り強い対応を見せた点は大きな収穫だ。また、池田選手・鈴木章選手・二田選手ら若手・中堅の躍動はチームの未来を感じさせるもので、積極的にゴール前へ出ていくアグレッシブさが随所に見られた。
先制点につながった藤井選手の突破も大きな武器であり、攻撃パターンの幅が広がっていることがわかる。シーズン終盤にかけて構築された「前向きな守備から速攻へつなげるモデル」は来季への大きな財産だ。敗れはしたものの、アウェイで強豪広島相手に互角に渡り合った内容は自信につながるだろう。山口監督退任後の新体制では、これらの長所をさらに伸ばすことで、順位向上への手応えあるスタートが切れるはずだ。
SNSの反応
■ 広島サポーター
「スキッベ監督のラストを逆転勝利で締められて本当に良かった!」
「菅選手のCKが全部チャンスになる。来季はセットプレーでさらに点が取れそう」
「V・ジェルマン選手、あの一撃は痺れた!」
「今日は大迫選手のセーブがなかったらやばかった」
「来季こそ優勝争いに絡める手応えを感じる試合だった」
■ 湘南サポーター
「内容は全然悪くない。来季につながる戦いだった」
「藤井選手の突破力、もっと早く見たかった!」
「鈴木章選手の存在感が今日も素晴らしい」
「惜しい場面が多かったけど、大迫選手がすごすぎた…」
「セットプレー2発は悔しいけど、チームとしての方向性は見えた」
