試合分析・戦評
湘南ベルマーレはホーム最終戦を勝利で飾り、サポーターにとっても非常に特別な1日となった。J2降格が決まった中での一戦だったが、選手・監督・観客すべてが「最後に意地を見せる」強い意志を共有した試合だったと言える。
前半は湘南が主導権を握り、3-1-4-2の可変的な形でサイドを広く使う攻撃が目立った。特に太田選手・中野選手のクロスワークは安定しており、多くの場面でペナルティエリアへの侵入に貢献している。しかし序盤はシュート数こそ多くないものの、効果的な縦の推進力で清水陣内に押し込む時間が続いた。
清水は3-4-2-1で中央に人数をかけながら守備ブロックを形成し、奪った瞬間には乾選手・カピシャーバ選手を軸に速い攻撃を展開。しかし決定機の精度に課題が残り、前半はシュート3本とチャンスは限定的だった。
試合を動かしたのは前半44分。小野瀬選手がドリブルで持ち上がり、そのまま右足で強烈なミドルシュート。J1通算200試合目という節目の試合で見事なゴールを決め、スタジアムを沸かせた。この得点は湘南の気持ちの強さが象徴されたシーンでもあった。
後半は様相が一変する。清水がボール保持を強め、山原選手・松崎選手を中心として左右に揺さぶりをかけ、湘南を押し込む展開へ。xGでも清水が最終的に1.24と湘南を上回っており、決定機の数は後半に大きく傾いた。
湘南は守勢が続く中、GK真田選手がビッグセーブを連発。特にマテウス・ブエノ選手や千葉選手のミドルシュートを抑えた場面は、試合の流れを決定付けたプレーだった。
そして終盤、松本大選手がVARの末に退場となり、湘南は10人での苦しい戦いに。しかし最終ラインの集中力は一切切れず、体を張ったブロックと真田選手の安定した対応により、最後までゴールを割らせなかった。
結果は1-0。
数字では清水が上回ったものの、湘南が“意地”と“気迫”でつかんだ価値ある勝利だった。
これからに向けて
湘南にとってこの勝利は、数字以上の価値を持つものとなった。J2降格が決定したシーズンではあったが、ホーム最終戦でサポーターへ勝利を届けることができたことは、来季への大きな希望となる。
まず評価すべきは、後半の苦しい時間帯を10人でしのぎ切った守備の集中力だ。特に真田選手のセービング、舘選手・大岩選手の最後まで崩れないライン統率は、来季のチームの核となる強さを再確認できたポイントだと言える。また、小野瀬選手の節目を自ら祝う決勝ゴールは心に残る瞬間となり、クラブとしてのストーリーを象徴する1点となった。
来季はJ2からの再出発となるが、今回の試合で見せた「戦う姿勢」「ハードワーク」「チームとしての結束力」はカテゴリーを問わず戦える力だ。山口監督のもと積み上げてきたスタイルと、若手の台頭、そしてサポーターとの強い絆があれば、湘南は必ず巻き返すことができる。
清水はスコアこそ0-1だったが、内容面では十分に評価できる試合だった。特に後半は完全に主導権を握り、シュート数14本・xG1.24と相手を圧倒。攻撃の形をしっかり作れたことは、チームの成熟を感じさせるものだった。
松崎選手の投入以降、右サイドの崩しが活性化し、松崎選手・嶋本選手・千葉選手といった複数選手がフィニッシュに絡んだのもポジティブな材料。また、カピシャーバ選手・乾選手のドリブルによる推進力は健在で、ゴール前の迫力はリーグでも上位レベルだと言える。
守備面でも住吉選手を中心にブロック形成が安定しており、大崩れしない戦い方が身についている。今回の敗戦は決して悲観すべきものではなく、「あと一歩の精度」が改善されれば勝ち点を積み上げられる内容だった。
監督交代やチーム変革の時期にありながら、選手たちが最後まで戦い続ける姿勢は大きな財産。来季に向け、攻撃の精度を上げていくことで、さらに強い清水が見られるはずだ。
SNSの反応
湘南サポーター
「小野瀬選手、200試合で決勝点は熱すぎる!これは一生忘れない」
「真田選手が今日のMVP。あのセーブがなかったら逆転されてた」
「降格しても、最後まで戦う姿勢に感動した。来季また一緒に戦おう」
「茨田選手と山口監督、本当にありがとう。勝って送り出せてよかった」
「10人で耐えた時間、痺れた。これが湘南のサッカーだよ」
清水サポーター
「内容は悪くなかったのに…最後の精度だけ本当に惜しい」
「松崎選手が入ってから流れ変わった。来季はキーマンになりそう」
「真田選手を褒めるしかない。あれ全部止められたら勝てん」
「乾選手の推進力はさすが。得点に結びつけたいところ」
「負けたけど後半の圧力は素晴らしかった。次に繋がる試合」
