試合分析・戦評
関西ダービーとなった第36節、パナソニック スタジアム 吹田は34,695人の観客が熱気に包まれた。逆転優勝を狙う神戸に対し、G大阪はホームで意地を見せたい一戦。両チームともAFCチャンピオンズリーグを戦った直後の連戦という状況で、疲労と戦術のバランスが試される試合となった。
序盤はG大阪が主導権を握る。イッサム・ジェバリ選手を起点とした前線の連動からチャンスを生み、安部柊斗選手や半田陸選手が積極的にゴールを狙った。守備面では中谷進之介選手が大迫勇也選手をしっかりと抑え、相手に決定機を与えない安定した戦いを見せた。前半のポゼッションはほぼ五分ながら、G大阪がやや押し気味に試合を進める。
しかし神戸も中盤の扇原貴宏選手と井手口陽介選手を中心にリズムをつかみ返し、広瀬陸斗選手の突破や武藤嘉紀選手のポストプレーでチャンスを増やす。前半終了間際には広瀬選手が決定的なシュートを放つが、G大阪の守護神・一森純選手が好セーブでこれを防ぎ、スコアレスで折り返した。
後半に入ると神戸が圧力を強める。特に佐々木大樹選手の投入でサイド攻撃が活性化し、Jパトリッキ選手や宮代大聖選手も絡みながら攻勢を仕掛けた。一方で、G大阪は徐々に前線でボールが収まらなくなり、守勢に回る時間が続いたが、79分に投入された奥抜侃志選手が流れを変える。イッサム・ジェバリ選手の縦パスを受けると、鋭いドリブルから右足でJ1初ゴールを決め、待望の先制点を挙げた。
だが神戸も諦めない。89分、永戸勝也選手のロングボールを武藤選手が頭でつなぎ、佐々木選手が豪快に右足を振り抜いてゴール。土壇場で同点に追いついた。試合はそのまま1-1で終了。G大阪は勝率100%を誇った“先制試合”で初のドロー、神戸は3連覇の夢が潰える結果となった。
互いに意地を見せた激闘は、勝点1を分け合う公正な結果。雨の中でも途切れぬ両チームの闘志とサポーターの声援が、関西ダービーの誇りを感じさせる一戦となった。
今後に向けて
🔵 G大阪は、今季を通して守備の安定感とチームとしての連動性が光った。特に中谷進之介選手、一森純選手を中心とする守備陣の集中力は非常に高く、優勝争いを演じる神戸相手にも怯むことなく対応した点は評価に値する。また、奥抜侃志選手が決めたJ1初ゴールは、チームに新たな可能性をもたらす一撃だった。終盤の退場という難局の中でも組織を崩さず戦い抜く姿勢は、片野坂監督のもとでチームが一体化している証拠だ。残り2試合、ACLとの並行で体力的な厳しさはあるが、ホームでの粘りと選手層の厚みを武器に、来季へ向けて明確な成長の兆しを見せた。若手とベテランが融合しつつある現在のチームには、確かな前進が感じられる。
🔴 神戸にとっては優勝が遠のく痛恨のドローではあったが、最後まで諦めないメンタルの強さが光った。特に途中出場の佐々木大樹選手の同点弾は、クラブの未来を象徴するような意義あるゴールだった。扇原貴宏選手を軸にした中盤の展開力、広瀬陸斗選手や永戸勝也選手のサイド攻撃も効果的で、交代策が試合にインパクトを与えた点は吉田孝行監督の采配の的確さを示している。結果として3連覇は逃したものの、チーム全体が最後までアグレッシブにプレーし続けたことは来季への大きな糧となるだろう。世代交代を進めながらも高い競争力を維持しており、次の目標であるACL再出場、そして王者奪還へ向けたチームの成熟が着実に進んでいる。
SNSの反応
💬 G大阪サポーターの声
「奥抜選手、ついに来た!初ゴールがこの舞台とは感動!」
「退場があっても崩れない守備、今日の一森選手は神。」
「勝てなかったけど、内容的には互角以上だった。」
「食野選手もだいぶキレ戻ってきたな。」
「ホームの雰囲気最高!サポも選手も本当にお疲れ様!」
💬 神戸サポーターの声
「佐々木選手、魂の一撃!諦めない姿勢に胸が熱くなった。」
「大迫選手は厳しかったが、チーム全体の気持ちは伝わった。」
「永戸選手のクロス精度がやっぱり高い!」
「最後まで攻め抜いた姿勢に拍手。誇らしい。」
「3連覇は逃したけど、神戸らしい戦いだった。」
