試合分析・戦評
勝点55で並ぶ広島と町田の上位直接対決は、優勝争いを占う重要な一戦となった。両チームとも中3日でのタイトな日程の中、立ち上がりから激しい攻防が続いた。広島は塩谷選手をボランチに据えた3-4-2-1、町田は相馬選手と西村選手の2シャドーで挑む3-4-2-1で臨んだ。
前半は互いにコンパクトな守備ブロックを維持しつつ、細かなポジショニングで主導権を奪い合う展開。広島は田中聡選手や中島洋太朗選手が積極的に前線へ顔を出し、GK谷選手の好セーブを引き出した。一方の町田も下田北斗選手や藤尾翔太選手を中心に鋭いカウンターを繰り出し、GK大迫選手の好守を強いる。両守護神の活躍でスコアレスのまま前半を折り返した。
後半に入ると、町田が一瞬の隙を突く。50分、相馬勇紀選手が左サイドから鋭いドリブルで切り込み、左足一閃。正確なコースに突き刺すゴールで先制する。町田はこの1点を機に、ブロックを下げながらも中盤の守備で強度を維持し、リードを守ろうと試みた。
しかし、広島の執念が終盤に爆発する。交代で投入された菅大輝選手と新井直人選手が攻撃のテンポを変え、再三のCKからチャンスを演出。88分、菅選手の正確な左足クロスにキム・ジュソン選手が頭で合わせ、ついに同点弾を叩き込んだ。さらにアディショナルタイムには佐々木翔選手が倒されてPKを獲得。トルガイ・アルスラン選手が冷静に沈め、劇的な逆転勝利を飾った。
最後まで諦めない広島のメンタリティが光った一戦。試合を通して広島はポゼッション56%、シュート数12本、ゴール期待値1.76と内容面でも優勢。町田の守備は粘り強かったが、最後は集中を切らした。満員のエディオンピースウイング広島が歓喜に包まれた夜となった。
これからに向けて
劇的な逆転勝利で勢いを取り戻した広島。チーム全体が最後まで勝利を諦めない姿勢を見せ、これまで取りこぼしてきた試合とは違う粘り強さを発揮した。特に途中出場の選手たちが流れを変えた点はポジティブで、層の厚さがチームの武器になっている。
また、終盤に多くのセットプレーから得点を生み出せたことは、スキッベ監督の準備力と選手の集中力の証でもある。キム・ジュソン選手の得点やアルスラン選手のPKなど、守備陣・途中出場組が結果を出したことはチーム内競争を活性化させる。
今後は残り試合で首位鹿島を追うためにも、攻守両面での安定感を継続することが重要だ。ACLとの並行日程の中でもコンディション管理を徹底し、勝点を積み上げ続ければ、逆転優勝の可能性も十分にある。チーム全体の一体感を維持しつつ、さらに上を目指したい。
敗戦とはいえ、町田にとっても手応えの残る試合だった。相馬勇紀選手の個人技からの先制点は、チームが持つ攻撃の鋭さを示したものであり、守備面でも終盤まで集中を切らさず粘り強く対応した。谷晃生選手のビッグセーブや望月選手、昌子選手らのカバーリングも光った。
ただし、リードを奪った後の試合運びに課題が残った。ボール保持時にもう少し時間を作る工夫や、終盤の守備ブロックの整備が求められる。
とはいえ、上位チーム相手にも互角の戦いを見せた点はポジティブで、チームの地力は確実に向上している。次節以降、この悔しさを糧に再び連勝街道へと戻れるかが鍵。相馬選手の復調やデューク選手のフィジカルも含め、攻撃陣の連携が深まれば、再び上位争いに食い込む力を十分に持っている。
SNSの反応
■サンフレッチェ広島サポーター
「最後の最後まで諦めない姿勢に涙。キム・ジュソン選手ありがとう!」
「アルスラン選手のPK、あの冷静さはさすが。」
「菅選手のクロス精度がエグい。完全に流れを変えた。」
「満員のスタジアムでこの劇的勝利、最高の夜!」
「この勝ち方なら、まだ優勝は夢じゃない!」
■FC町田ゼルビアサポーター
「相馬選手のゴールは美しかった。あれで勝ちたかった。」
「守備陣は最後までよく耐えた。あと数分だったのに…」
「谷選手のセーブに何度救われたか。本当に誇り。」
「こういう悔しい試合を経験して、もっと強くなってほしい。」
「負けたけど、このチームにはまだ伸びしろしかない。」
