試合分析・戦評
J1第31節、清水エスパルスと浦和レッズの一戦は、IAIスタジアム日本平で行われ、0-0のスコアレスドローに終わった。立ち上がりは清水が積極的な姿勢を見せ、北川航也選手を起点とした縦への速い攻撃で浦和守備陣を揺さぶった。住吉ジェラニレショーン選手の前線からのボール奪取も効き、松崎快選手や小塚和季選手が積極的にシュートを放ち、スタジアムを沸かせた。しかしラストパスやフィニッシュの精度を欠き、ゴールには至らなかった。
一方の浦和は前半17分、荻原拓也選手のクロスに反応したイサーク・キーセ・テリン選手が放ったシュートがポストを叩くなど、限られたチャンスで決定的な場面を作り出した。30分を過ぎると浦和が徐々に主導権を握り、マテウス・サヴィオ選手や渡邊凌磨選手がシュートを重ねたが、GK梅田透吾選手の好守に阻まれた。前半終了時点で浦和が9本のシュートを放つも得点はならず、清水もわずかにゴール期待値0.24にとどまり、決定力不足が際立った。
後半は完全に浦和の流れ。Iキーセテリン選手、マテウス・サヴィオ選手、安居海渡選手、さらには途中出場の中島翔哉選手や松尾佑介選手が次々と決定機を迎えた。特に73分以降の中島選手の躍動は際立ち、クロスやミドルシュートで何度もネットを揺らしかけたが、梅田透吾選手のセーブと清水守備陣の粘りが勝利を許さなかった。
清水は乾貴士選手や高橋利樹選手の投入で攻撃に変化を与えたが、決定機の創出は限定的。北川航也選手のポストプレーを起点にチャンスを狙ったが、最後の局面で浦和の守備網に阻まれた。最終的にシュート数は浦和の24本に対して清水は9本。ゴール期待値でも浦和が4.31と大きく上回ったが、得点には結びつかなかった。
結果として、清水は今季最多タイとなる3連勝を逃し、浦和は連敗を止めたものの決定力不足を露呈する試合となった。互いに勝ち点1を分け合い、課題と収穫が混在するゲームだった。
これからに向けて
清水は3連勝を逃したとはいえ、序盤に見せた積極的なプレスと縦に速い攻撃は今後につながる大きな要素だった。特に北川航也選手の復帰によって前線での推進力が高まり、チーム全体が攻撃に厚みを持てるようになったのはポジティブな材料だ。また、GK梅田透吾選手の好守が光り、試合全体を通じて浦和の猛攻を無失点で凌いだことは、守備面での自信につながる。乾貴士選手や高橋利樹選手といった交代選手が攻撃のリズムを変えた点も評価でき、層の厚さを感じさせた。今後に向けては、好調な守備をベースにラストパスやフィニッシュの精度を改善できれば、さらに上位進出も狙えるだろう。今回の勝ち点1は、苦しい時間を耐え抜いたチームの成長の証とも言える。
浦和にとっては決定機を数多く作りながらもネットを揺らせなかった試合となったが、内容自体は非常にポジティブなものであった。新加入のイサーク・キーセ・テリン選手がフィニッシュの局面に多く絡み、ゴール前での存在感を示したことは大きな収穫だ。また、中島翔哉選手が途中出場で攻撃に厚みをもたらし、複数の決定機を演出したのは今後への期待を膨らませる要素である。さらに、荻原拓也選手や関根貴大選手がサイドから繰り返し好クロスを供給し、攻撃の多彩さを見せられたことも前向きに捉えられる。結果として無得点ではあったものの、内容的には勝利に十分値する試合であり、この攻撃の流れを継続できれば得点力不足も解消されるはずだ。次節以降の巻き返しに期待がかかる。
SNSの反応
清水エスパルスサポーター
「梅田選手がいなかったら大敗していた。守護神に感謝」
「北川選手が復帰して攻撃に厚みが出たのは良かった」
「3連勝を逃したのは残念だけど、引き分けで踏ん張れたのは大きい」
「乾選手が入ってから攻撃のテンポが変わった。今後が楽しみ」
「決定力不足は課題だが、守備の安定感は増している」
浦和レッズサポーター
「これだけチャンスを作って点が取れないのはもどかしい」
「キーセ・テリン選手はフィットしてきている。次こそゴールを」
「中島選手の投入で一気に流れが変わった」
「梅田選手に止められすぎた。相手GKを褒めるしかない」
「内容は悪くない。決定力さえ戻れば上位も狙える」
