試合分析・戦評
明治安田J1第30節、味の素スタジアムで行われた東京ヴェルディとファジアーノ岡山の一戦は、スコア以上に内容の濃い攻防戦となった。試合は開始早々に動き、前半8分に東京VがCKから染野唯月選手のヘディングで先制。ここまで4試合連続無得点と苦しんでいた東京Vにとっては、理想的なスタートとなった。しかし岡山もすぐに反撃。江坂任選手のヘディング、一美和成選手のミドルで逆転に成功し、流れを引き寄せた。だが前半終了間際、森田晃樹選手のクロスに平尾勇人選手が飛び込み、自身Jリーグ初ゴールで試合を振り出しに戻した。前半を2-2で折り返し、スタジアムは一層ヒートアップした。
後半は一進一退の展開となる。岡山は江坂選手、田部井涼選手らを起点に厚みのある攻撃を仕掛けるが、GKマテウス選手の好セーブや東京V守備陣の粘りに阻まれる。試合の流れを変えたのは69分の東京Vのカウンターだった。平尾選手のロングフィードを受けた染野選手が冷静にクロスを送り、最後は福田湧矢選手が合わせてネットを揺らした。加入後リーグ戦初得点となるこのゴールで再びリードを奪うと、以降は岡山の猛攻をいなしつつも集中を切らさない。最後は谷口栄斗選手が自らボールを奪い、そのままカウンターを完結させる見事なゴールで勝負を決定づけた。東京Vは今季最多の4ゴールを記録し、5試合ぶりとなる勝利を掴んだ。
岡山は内容的には互角以上の時間帯も多く、シュート数でも東京Vを上回ったが、決定機での精度と守備の隙が響いた試合となった。とはいえ江坂選手の存在感や新加入のルカオ選手の推進力など、収穫も多く見られた。結果は4-2と東京Vの勝利に終わったが、両チームの攻撃的姿勢と試合巧者ぶりが存分に発揮された好ゲームだった。
これからに向けて
東京Vにとって、この勝利はチームの流れを大きく変えるきっかけとなりうる。これまで得点力不足に悩まされていたが、この試合では複数の選手が得点に絡み、チーム全体でゴールを奪う形を示したことは非常にポジティブだ。特に染野唯月選手が起点となり、平尾勇人選手や福田湧矢選手といった若手や新戦力が結果を残したことは、攻撃の多様性を示す証拠である。守備面でも、岡山の強力な攻撃を受けながら最後まで集中を切らさず、要所で体を張るプレーが光った。谷口栄斗選手の決定的な4点目は、チーム全体が攻守にわたり連動していた象徴的なシーンだった。今後は、この勢いを継続しながら中位以上への定着を狙い、ホームでの勝利を積み重ねていくことが求められる。
敗れはしたものの、岡山にとってこの試合は多くの収穫を得られた内容だった。江坂任選手は存在感を発揮し、攻撃の軸として確実に機能していた。また、途中出場のルカオ選手が見せた推進力やパワーは、今後の攻撃オプションとして大きな武器となるだろう。課題はやはり守備での隙と試合の流れの中での集中力維持だが、内容的には東京Vに十分対抗できるパフォーマンスを見せており、自信を失う必要はない。シュート数やボール保持でも互角以上を記録していることから、ゴール前での精度を高めれば勝点獲得は必ず増えていくだろう。次節以降は修正点を活かしつつ、攻守のバランスを整えて連勝街道に戻ることが期待される。
SNSの反応
東京ヴェルディサポーター
「久しぶりに複数得点!染野選手が本当に頼もしい」
「平尾選手の初ゴール、泣けた!おめでとう!」
「福田選手が加入後初得点、このタイミングで最高」
「谷口選手のゴール、痺れるカウンターだった」
「攻撃が噛み合った試合、これからが楽しみ」
ファジアーノ岡山サポーター
「江坂選手はさすがの存在感。攻撃の軸だね」
「守備の綻びが痛かったけど、内容は悪くなかった」
「ルカオ選手の推進力、これから期待できそう」
「決定機を外したのが響いた…でもまだまだ上を狙える」
「アウェーでも堂々と戦えていた、次節に切り替えだね」