試合分析・戦評
46回目となる“多摩川クラシコ”は、9月20日にUvanceとどろきスタジアム by Fujitsuで行われ、川崎フロンターレがホームにFC東京を迎えた。川崎Fは直近5試合で好調を維持していたが、この大一番では攻守両面で苦しい展開を強いられた。序盤は互いに高いインテンシティで仕掛け、ゴール前での応酬が続く。特にFC東京は安斎選手、長倉選手らが積極的に仕掛け、ゴールに迫った。23分には長友選手の展開から長倉選手がクロスを入れ、遠藤選手がヘディングでゴールネットを揺らし、アウェイのFC東京が先制に成功した。先制後も東京はサイドを起点に攻撃を展開し、追加点の機会を作り出したが、VARや決定力不足でスコアは動かなかった。
一方の川崎Fは、前半10分に山本選手のFKからエリソン選手がヘディングで枠を捉える決定機を迎えるも、GKキム・スンギュ選手の好セーブに阻まれるなど、要所で仕留めきれず。中盤でのボール保持は試みたものの、FC東京の守備ブロックを前に効果的な崩しを欠いた。後半に入ると、川崎Fは脇坂選手を投入してリズムを変え、ボールを握る時間を増やす。伊藤選手やマルシーニョ選手がドリブルで局面を打開し、脇坂選手のミドルや小林選手のヘディングといったチャンスも生まれた。しかし、フィニッシュの場面では精度と運に恵まれず、得点は幻に。終盤のアディショナルタイムには脇坂選手が押し込んだかに見えたが、直前のプレーでオフサイドが判定されゴールは認められなかった。
最終的にスコアは0-1で終了。川崎Fはシュート数では上回ったものの(14本対12本)、枠内は2本にとどまり、決定力不足を露呈。一方のFC東京は遠藤選手の一撃を守り切り、連勝を果たして残留に向けて大きな勝ち点3を獲得した。クラシコという特別な舞台にふさわしい緊張感の中、勝負を決めたのはわずかな精度と集中力の差だったと言えるだろう。
これからに向けて
川崎フロンターレにとっては痛恨の敗戦となったが、内容面では多くの収穫もあった。特に後半からの修正力は光り、脇坂選手を投入したことで中盤のバランスが整い、攻撃に厚みが出た。伊藤選手やマルシーニョ選手がサイドで積極的に仕掛け、クロスやシュートに持ち込む場面も増加。小林選手の終盤のヘディングや、脇坂選手のネットを揺らしたシーンは「あと一歩」で結果につながるものだった。攻撃の形自体はしっかり作れており、精度と決定力が伴えば複数得点も可能であった試合内容だった。優勝争いに踏みとどまるためには痛い黒星だが、攻撃の厚みと守備の粘りを両立できていたことは、今後の大きな武器となるだろう。ホームでの敗戦を糧に、次節以降は修正を重ね、再び勝利の流れを取り戻すことが期待される。
FC東京は、この一戦で自らの強みをしっかりと発揮した。先制点を挙げた遠藤選手の決定力はもちろん、長倉選手や安斎選手ら若手の積極性が光り、チーム全体が高い運動量で川崎Fに立ち向かった。守備面ではショルツ選手や高選手を中心に集中した守備を見せ、ゴール前ではGKキム・スンギュ選手が最後の砦として立ちはだかった。攻撃でもサイドからの崩しや素早いカウンターが機能し、今後の戦いにも大きな自信となる勝利だった。東京ダービーに続き、多摩川クラシコでも勝利を収めたことで、チームの士気は大きく高まっている。残留争いから一歩抜け出すだけでなく、上位進出を狙う足がかりとして、今後のシーズン終盤に向けた戦いに弾みをつける試合となった。
SNSの反応
川崎フロンターレサポーター
「内容は悪くなかったけど決定力不足が痛い…次は仕留めきってほしい」
「脇坂選手が入ってから流れが変わった、彼の存在感は別格」
「最後の小林選手のヘディングは決まったと思った…キム・スンギュ選手にやられた」
「クラシコで負けるのは悔しいけど、攻撃の形は作れていた」
「まだ優勝争いは終わっていない!次節から立て直そう」
FC東京サポーター
「遠藤選手のゴールでクラシコ勝利!最高の瞬間」
「ショルツ選手の守備は頼もしすぎる」
「キム・スンギュ選手がMVP、最後まで集中を切らさなかった」
「東京ダービーに続いてクラシコも勝利、チームの勢いを感じる」
「若手が躍動していて頼もしい。残留どころか上位も狙える」