試合前展望
J1リーグ第3節、横浜F・マリノス(横浜FM)と横浜FCの「横浜ダービー」が2月26日に日産スタジアムで開催された。過去の対戦成績は横浜FMが4勝1分け3敗とやや優勢。
横浜FMは4-4-2の布陣を採用し、スタメンを4人変更。横浜FCは3-4-2-1の布陣で1人の変更にとどめた。ボール保持を重視する横浜FMに対し、横浜FCはコンパクトな守備からのカウンターを狙う展開が予想された。
前半
試合は横浜FMのキックオフでスタート。序盤から横浜FMがボールを支配し、高いポゼッション率(前半15分時点で66%)を記録した。特に右サイドの井上選手と左サイドの鈴木選手がクロスを供給し、ゴール前への圧力を強めたが、横浜FCの守備陣も集中力を保ち、クリアやブロックで対応した。
前半6分、井上選手が右サイドを突破しクロスを供給するも、ンドカ選手にクリアされる。続く8分には遠野選手が左サイドからクロスを送るが、新保選手に防がれた。横浜FMはチャンスを作るものの、横浜FCの守備陣に阻まれ、決定的なシュートには至らなかった。
横浜FCはコンパクトなブロックを敷きながらカウンターを狙い、前半14分には山根選手がペナルティエリア手前から左足で枠内シュートを放つも、横浜FMのGK朴選手がセーブ。前半17分には櫻川選手がペナルティエリア中央からシュートを放つも枠を外れた。
前半35分には横浜FMが左CKを獲得。天野選手のキックを松原選手がヘディングシュートするも、横浜FCのGK市川選手が好セーブを見せた。横浜FCも前半42分にジョアンパウロ選手がペナルティエリア内でボールを収めるも、渡邊泰基選手にクリアされる。
前半終了時点で両チームとも決定機を活かせず、スコアレスで折り返し。シュート数は横浜FMが4本、横浜FCが4本と拮抗し、ポゼッションは横浜FMが62%、横浜FCが38%となった。
後半
後半は横浜FCのキックオフでスタート。開始直後の3分には横浜FCが左CKを獲得し、櫻川選手がシュートを放つもゴール右に外れた。横浜FCは前半よりも積極的にボールを保持し、後半15分のポゼッションでは62%と逆転した。
横浜FMは後半13分に遠野選手と天野選手を下げ、ヤンマテウス選手と植中選手を投入。後半25分には井上選手と渡辺皓太選手を下げ、エウベル選手とジャンクルード選手を入れるなど、攻撃的な選手交代を行った。
横浜FCは後半25分に山根選手と小倉選手を下げ、鈴木準弥選手とユーリララ選手を投入し、中盤の強度を上げた。後半28分には新井選手のクロスからジョアンパウロ選手がペナルティエリア内でボールを収めるも、決定機には至らなかった。
横浜FMは後半37分にエウベル選手のパスをAロペス選手が受け、ペナルティエリア内でシュートを放つも、山崎選手にブロックされる。続く後半50分には植中選手がペナルティエリア中央からシュートを放つも、福森選手がブロック。最後まで攻め続けたものの、ゴールは生まれず0-0のスコアレスドローで終了した。
シュート数は横浜FMが13本、横浜FCが6本、枠内シュートは両チーム2本ずつ。ゴール期待値(xG)は横浜FMが1.25、横浜FCが0.85と横浜FMがやや優勢だったものの、決定力を欠いた試合だった。
総括
横浜FMは試合を通じてポゼッションを重視し、相手陣内での攻撃時間を増やしたが、横浜FCの堅守を崩せなかった。井上選手や遠野選手が再三クロスを供給し、Aロペス選手を中心にシュートを狙ったが、最後のフィニッシュ精度が課題となった。
一方、横浜FCは粘り強い守備とコンパクトな陣形で横浜FMの攻撃を封じ、カウンターでチャンスを作った。新井選手の積極的なドリブルやジョアンパウロ選手のキープ力が光ったが、決定力不足が響いた。
横浜FMはボール保持の質を高めつつ、フィニッシュの精度向上が今後の課題となる。横浜FCは守備面での安定感が確認できた一方、攻撃のバリエーションを増やすことが求められる。
今後
横浜FMは高いボール保持率を維持しながら試合をコントロールする能力を示した。特に井上選手や鈴木選手の積極的な仕掛けは、今後の攻撃の鍵を握る。決定機をより確実に決められれば、勝利を積み重ねることができるだろう。
横浜FCは守備の組織力と粘り強さを証明し、横浜FMの攻撃を無得点に抑えた点は評価できる。特に新井選手のドリブル突破やジョアンパウロ選手のキープ力は、攻撃の可能性を広げる要素となる。今後はこの守備力を維持しつつ、カウンターの精度を上げることで勝利に近づくことができるはずだ。
両チームともに今後の成長が楽しみな試合となった。