試合前展望
J1リーグ第2節、名古屋グランパス対ヴィッセル神戸の一戦は、互いに異なるスタイルを持つチームの対決となった。名古屋は3-4-2-1のフォーメーションを採用し、組織的な守備とカウンターで勝機を見出す。一方、神戸は4-1-2-3で主導権を握る戦いを展開し、大迫勇也選手を軸に攻撃を構築する。
両チームともスタメンに変更があり、戦術面の微調整が試合の鍵を握る。昨季の対戦成績では名古屋が優勢だったが、神戸の攻撃力は決して侮れない。
前半
試合は神戸のキックオフで始まり、名古屋の椎橋慧也選手がJ1通算200試合出場を達成した。序盤は両チームとも慎重な立ち上がりを見せ、前半2分にはVARによるオンフィールドレビューが行われた。神戸は4-1-2-3の布陣でポゼッションを高め、左サイドの武藤嘉紀選手を起点とした攻撃を試みた。
前半9分には名古屋が左サイドから徳元悠平選手のクロスを入れるも、本多勇喜選手がクリア。直後に永井謙佑選手がペナルティエリア内でボールを収める場面があったが、決定機には至らなかった。一方、神戸は前半11分に武藤選手が左サイドからのドリブル突破でシュートを放つも、武田洋平選手の好セーブに阻まれる。
試合が進むにつれ、両チームはシュートを打つ場面を増やしていった。前半20分までのシュート数は名古屋1本、神戸2本と少ないが、ポゼッションでは神戸がやや優勢に進めた。特に16分のフリーキックでは大迫選手がゴールを狙ったが、惜しくも決まらなかった。
名古屋は前半28分に和泉竜司選手のパスが徳元選手につながり、折り返しのボールを山岸祐也選手がシュート。しかし、神戸の前川黛也選手がこれを防いだ。神戸も前半36分に佐々木大樹選手が決定機を迎えるが、武田選手のセーブで得点には至らず。前半は名古屋3本、神戸5本のシュートで終了し、スコアレスのまま折り返した。
後半
後半は名古屋のキックオフでスタート。神戸は序盤から攻撃のリズムを作り、後半5分には大迫選手のスルーパスを佐々木選手が受けるも、シュートに持ち込めなかった。神戸が主導権を握る展開の中、名古屋がカウンターからチャンスを迎える。
後半11分、名古屋がFKを獲得。キッカーの徳元選手が左足で直接ゴールを狙い、見事にゴールネットを揺らして先制点を奪う。この得点で名古屋は勢いづき、攻撃の回数を増やした。しかし、神戸もすぐに反撃を試み、後半25分にはCKからの混戦で大迫選手がゴールを決め、試合を振り出しに戻した。
さらに、後半30分には神戸が逆転に成功。佐々木選手のパスを受けた大迫選手がペナルティエリア内で冷静に決め、スコアは1-2に。しかし、名古屋も諦めずに攻め続け、後半36分には浅野拓磨選手がドリブルで突破し、日高光揮選手のファウルを誘ってPKを獲得。キッカーの稲垣祥選手がこれを決め、2-2の同点に持ち込んだ。
試合終盤、神戸は積極的に攻め込み、後半52分には冨永虹七選手が決定機を迎えるも、武田選手のファインセーブに阻まれる。最終的に試合は2-2で終了し、両チームが勝ち点1を分け合う形となった。
総括
この試合は、互いに異なるスタイルがぶつかり合う展開となった。名古屋は守備を固めながら効果的なカウンターを狙い、一方の神戸はポゼッションを重視しながら攻撃を組み立てた。前半はスコアレスだったものの、後半には両チームとも得点を重ね、見応えのある試合となった。
名古屋はセットプレーからの得点や粘り強い守備が光ったが、試合の流れの中で神戸の攻撃を止め切れなかった点は課題として残った。一方の神戸は大迫選手を中心に攻撃を仕掛け、逆転に成功したものの、試合終盤のPK献上が痛手となった。
シュート数は名古屋9本、神戸13本と神戸がやや優勢であり、ゴール期待値(xG)でも神戸1.58に対し、名古屋1.49と僅差だった。試合を通じてどちらも決定機を作り出しており、引き分けは妥当な結果だったと言える。
今後
名古屋にとって、セットプレーの精度は今後の強みとなる。徳元選手のFKや稲垣選手のPKは、チームの攻撃オプションを増やす要素となるだろう。また、浅野選手の突破力は今後の試合でも大きな武器となる。
神戸は攻撃のバリエーションが豊富であり、大迫選手を軸とした連携が機能している。佐々木選手のドリブル突破や武藤選手のクロスは、相手にとって脅威となる場面が多かった。今後は守備の安定感を向上させることで、勝ち点をより多く積み上げることができるはずだ。
両チームとも次節に向けて修正を加えながら、さらなる成長を遂げることが期待される。