試合分析・戦評
埼玉スタジアム2002で行われた明治安田J1第17節は、浦和レッズが劇的な逆転でFC東京を3-2で下した。試合は序盤9分、遠藤渓太選手が獲得したPKをマルセロ・ヒアン選手が冷静に沈めてFC東京が先制。浦和はボール保持率58%で主導権を握りながらも守備ブロックを崩せず、被カウンターに神経を尖らせる展開となった。
しかし32分、右SB石原広教選手が松尾選手の折り返しを右足ボレーで突き刺し同点に。石原選手にとっては今季初ゴールであり、スコルジャ監督の狙いが形になった瞬間だった。
後半に入るとFC東京が3-4-2-1のまま佐藤選手をターゲットにサイド攻撃を加速。68分、左WB安斎選手のクロスを遠藤選手が合わせ再びリードを奪う。浦和は直後にグスタフソン選手と大久保選手を下げ、長倉選手・金子選手を投入して4-2-2-2気味へシフト。幅を取り直したことでFC東京3バックの脇にスペースを創出し、80分に原口選手→金子選手→松本泰志選手と渡ったクロスから松本選手が同点弾を奪う。さらに90+3分、CKの二次攻撃でこぼれ球を松本選手が押し込み逆転に成功した。
試合全体のシュート数は浦和20本、FC東京8本。ゴール期待値(xG)は浦和2.23、FC東京1.76と数字でも浦和が攻勢を示した2025年第17節_浦和vsFC東京。特筆すべきは松本選手の投入後、浦和のペナルティエリア侵入回数が15分間で8回と急増した点。②列目の走力を高めたことで、FC東京のWBが下がり切れず、中央に人が余る構図を作り出した。対するFC東京はポゼッション42%ながら素早いカウンターとセットプレーで効率良くチャンスを創出し、終盤まで勝利に近づいていた。ただ、68分の2点目以降に中盤ラインを下げ過ぎたことでプレスバックが遅れ、バイタルを浦和に明け渡したことが痛手となった。
結果は浦和が3試合ぶりの白星。FC東京はアウェイ連勝が3でストップしたが、アウェイらしい効率的な戦いぶりを示した好ゲームだった。
今後
浦和レッズは、逆転勝利はもちろん、途中出場の松本泰志選手が2得点を挙げたことが最も大きな収穫だ。前線の流動性を高めるためにサイドの高い位置取りとインサイドへの斜めランを繰り返した結果、ゴール前で複数のフィニッシュ局面を生み出せた。石原選手の今季初得点も含め、サイドバック・インサイドハーフ・ウイングが連動してゴールを奪えたことで、攻撃パターンに厚みが増した。守備面ではカバーリングの距離感をもう一段整理したいが、高い位置からのネガティブトランジションは昨季より確実に改善している。今後はこの試合で得た「途中投入選手が流れを変える」という成功体験をチーム全体の自信に変え、上位浮上の足掛かりとしたい。
FC東京は、2度のリードを奪った戦いぶりは胸を張れるものだ。特にマルセロ・ヒアン選手の前線でのボール収まりと、遠藤渓太選手のダイアゴナルランは相手の最終ラインを大きく揺さぶった。安斎選手や白井選手がサイドで個を発揮し、中央にスペースを作る形は完成度が高い。失点はどれも守備陣が数的同数となった局面。終盤にラインが低くなったことでセカンドボール回収率が落ちた点が課題だが、逆に言えば修正ポイントは明確だ。3バックの一角に森重選手が戻ったことでビルドアップ安定度も高まる。次節以降はリード時の試合運びをブラッシュアップし、上位との勝点差を縮めたい。
SNSの反応
浦和サポーター
「松本選手、埼スタで主役降臨!逆転劇は鳥肌」
「石原選手が決めた瞬間、ゴール裏全員ジャンプ!」
「前線からのプレスが今季一番ハマってたね」
「原口選手のクロス精度がえぐい。さすがベテラン」
「3試合ぶり勝利!帰り道の埼スタロードが最高に明るい」
FC東京サポーター
「最後まで戦ったけど、あと一歩守り切れず…」
「遠藤選手のゴールは痺れた!次も期待」
「安斎選手の突破は夢ある。新しい東京の武器だ」
「あの失点は切り替え。リード時の守備ブロック整理を!」
「埼スタ遠征組お疲れ!次節味スタでリベンジしよう」