試合分析・戦評
J1第29節、JFE晴れの国スタジアムで行われたファジアーノ岡山対名古屋グランパスの一戦は、両チームの状況を色濃く映し出す激闘となった。直近5試合で3勝を挙げて上位進出を狙う岡山と、7試合未勝利から脱出を目指す名古屋の対戦は、互いの意地と戦術がぶつかり合う展開となった。
試合は立ち上がりから岡山が主導権を握る。江坂選手や神谷選手を中心にテンポよくボールを動かし、一美選手や木村選手がゴール前で存在感を見せた。3分には神谷選手のクロスに一美選手が飛び込むなど、積極的な姿勢を示す。しかし名古屋も守備ブロックを固め、森島選手を経由しながら徐々にリズムを取り戻した。35分には和泉選手、39分には永井選手がチャンスを作ったが、岡山守備陣とGKスベンド ブローダーセン選手の集中した対応に阻まれ、前半はスコアレスで折り返す。
後半に入ると名古屋がギアを上げる。稲垣選手の積極的なミドルや中山選手のクロスが攻撃を活性化し、流れを引き寄せた。そして61分、デザインされたCKから待望の先制点が生まれる。中山選手のクロスを稲垣選手が折り返し、最後は佐藤瑶大選手が頭で押し込みネットを揺らした。名古屋にとっては実に7試合ぶりとなる先制点であり、チーム全体に勢いをもたらした。
失点を喫した岡山はルカオ選手や加藤聖選手、岩渕選手、さらにはウェリック ポポ選手を投入し、攻撃のギアを一段上げた。サイドからのクロスとセカンドボールへの反応でゴールに迫り、終了間際には田上選手が押し込んで歓喜の瞬間を迎えたかに思われたが、VARにより直前のファウルが認定され幻の同点弾に。スタジアムは大きなどよめきに包まれたが、名古屋は最後まで集中力を保ち、虎の子の1点を守り抜いて0-1で勝利を収めた。
岡山は支配率やシュート数で優勢を示しながらも、ゴールを奪えなかったことが悔やまれる内容。一方の名古屋は少ないチャンスを生かし、苦しい状況を打破する大きな勝ち点3を手にした。両クラブの明暗を分けたのは、決定機をものにできるかどうかの差だったと言える。
これからに向けて
ファジアーノ岡山は敗戦こそ喫したものの、ホームでの戦いぶりは決して悲観すべき内容ではなかった。序盤から積極的に前進し、江坂選手や一美選手を中心に相手守備陣を揺さぶった攻撃姿勢は、スタジアムを大いに沸かせた。また、後半には交代で投入されたルカオ選手やウェリック ポポ選手が果敢にゴールへ迫り、試合終了間際にはVARで取り消されたもののネットを揺らす場面を作ったことはチームの底力を示している。
守備面でも、相手のスピードある攻撃に対してブローダーセン選手をはじめ全員が粘り強く対応し、失点を最小限に抑えたことは評価に値する。攻撃のフィニッシュ精度を高めることができれば、今後の試合で結果は必ずついてくるだろう。サポーターの後押しを受け、引き続き上位進出を狙うシーズンを戦い抜く岡山の姿勢に期待が膨らむ。
名古屋グランパスにとって、この勝利は大きなターニングポイントとなるだろう。直近で勝利から遠ざかっていた中で、守備の安定感を取り戻し、稲垣選手や森島選手を中心に試合をコントロールした。特にセットプレーから得点を挙げた場面は、緻密な準備と選手間の連携が実を結んだ瞬間であり、苦しい展開でも勝点を手繰り寄せられるチーム力を証明した。
また、ベテラン永井選手や和泉選手に加え、交代で投入された浅野選手や木村勇大選手が攻守に奮闘し、チーム全体のハードワークが光った。GK武田選手の好守も復帰戦を飾るにふさわしい内容で、再び守護神としての存在感を示した。勝ち点3を得たことにより、下位脱出と巻き返しへの手応えを得た名古屋は、残り試合でも勢いを増すことが期待される。
SNSの反応
ファジアーノ岡山サポーター
「内容では勝っていたのに…最後の最後で報われなかったのが悔しい」
「VARで取り消されたゴール、スタジアムの落胆がすごかった」
「江坂選手や神谷選手の運動量は本当に素晴らしい」
「ルカオ選手が入ってから攻撃に厚みが出た」
「負けたけど、このチームならまだまだ上を目指せる」
名古屋グランパスサポーター
「ようやく勝利!稲垣選手と佐藤選手のコンビ最高!」
「武田選手の復帰戦、ナイスセーブでチームを救ってくれた」
「久々の勝ち点3に涙が出そう…」
「守備が集中していたし、全員で掴んだ勝利だと思う」
「この勢いで残り試合も巻き返してほしい!」