試合前展望
J1リーグ2025シーズン開幕戦、湘南ベルマーレ対鹿島アントラーズの一戦は、レモンガススタジアム平塚で行われた。過去の対戦成績では鹿島が大きく勝ち越しており、戦力的にも鹿島が優位と見られた。しかし、湘南はホームでの戦いに強く、組織的な守備と鋭いカウンターで鹿島に対抗することが予想された。湘南は3-1-4-2の布陣で、攻撃時にはサイドを起点に攻める戦術を展開。一方、鹿島は4-4-2で安定した守備からの素早い攻撃を狙う。開幕戦ということもあり、両チームともに慎重な立ち上がりを見せつつ、試合の主導権争いが激しくなることが期待された。
前半
試合は序盤から両チームとも積極的なプレーを見せた。前半2分、鹿島のレオセアラ選手がペナルティエリア手前からシュートを放つが、湘南のGK上福元選手が好セーブを見せる。その直後、湘南も平岡選手がシュートを試みるも、鹿島のGK早川選手に阻まれる。
鹿島は前半4分にCKを獲得し、荒木選手がクロスを供給。植田選手がシュートを放つも枠を外れた。その後も鹿島は鈴木選手を中心にゴールに迫るが、湘南の守備陣が堅実に対応。特に湘南の最終ラインではキムミンテ選手が要所でクリアを見せ、鹿島の決定機を防いだ。
一方の湘南は、畑選手や小野瀬選手がサイドからのクロスを供給し、福田選手や鈴木雄選手がフィニッシュを狙う。前半18分にはCKからキムミンテ選手がヘディングで狙うも、ゴール上へ外れてしまう。ポゼッションは鹿島がやや優勢で、前半30分時点で湘南45%、鹿島55%という状況だった。
前半40分を迎えた時点で、湘南のシュートは6本、鹿島は8本と、互角の展開。鹿島の攻撃はレオセアラ選手をターゲットに据え、師岡選手や安西選手がクロスを供給する形が多かったが、湘南の守備が集中を切らさず対応。前半終盤には湘南が押し気味に試合を進め、44分に福田選手が決定的なシュートを放つも、早川選手の好守に阻まれた。前半はスコアレスで終了し、両チームともに後半の修正がカギとなる展開となった。
後半
後半に入ると、鹿島はポゼッションを高め、湘南陣内でのプレーを増やしていく。後半2分には鈴木選手がペナルティエリア内でボールを収めるが、湘南の守備陣がしっかりと対応。湘南もカウンターからチャンスを作り、後半7分には福田選手がドリブルで持ち上がりシュートを放つが、ゴールの上に外れてしまう。
試合が動いたのは後半19分だった。湘南の福田選手がペナルティエリア中央から左足でシュートを放ち、ゴール右下へと突き刺さった。このゴールで湘南が1-0とリードし、試合の流れを大きく引き寄せた。
リードを奪った湘南は、より守備的な布陣を取りつつ、カウンターを狙う。鹿島は後半21分に荒木選手と師岡選手を下げ、濃野選手と松村選手を投入。さらに28分にはレオセアラ選手と鈴木選手を交代させ、田川選手と徳田選手を投入して攻撃の活性化を図った。
しかし、湘南の守備は最後まで集中を保ち、鹿島のクロス攻撃を封じ込めた。後半40分時点でシュート数は湘南14本、鹿島8本と湘南が優勢。鹿島は試合終盤に濃野選手や樋口選手を中心に攻め込むが、湘南のGK上福元選手のファインセーブが光り、最後までゴールを許さなかった。
後半アディショナルタイムには鹿島がCKからのチャンスを作るも、湘南のルキアン選手がクリア。試合は1-0のまま終了し、湘南が開幕戦を勝利で飾った。
総括
この試合は湘南が持ち味を発揮し、堅実な守備と鋭いカウンターで鹿島を下した一戦となった。特に守備面ではキムミンテ選手を中心にした統率の取れた守備が光り、鹿島の攻撃を封じ込めた。ゴール期待値(xG)を見ても、湘南の1.50に対し鹿島は0.76と、湘南の方が決定的な場面を多く作り出していた。
一方、鹿島にとっては痛い敗戦となった。ポゼッションでは若干上回ったものの、決定機の数では湘南に及ばず、クロス攻撃も相手守備陣に跳ね返された。特に後半の交代策が効果を発揮せず、相手のブロックを崩しきれなかった点は課題となる。
今後に向けて
湘南にとって、この勝利はチームに大きな自信を与えるものとなった。特に福田選手の決定力、上福元選手の安定したセービング、そしてチーム全体の守備意識の高さは素晴らしいものだった。この勢いを持続し、次節も集中を切らさずに戦いたい。
鹿島にとっては悔しい敗戦だが、チーム全体のポゼッション力やビルドアップの精度は良かった。あとは決定機を増やすための工夫が求められる。今後の試合では、前線の連携強化やクロスの質を向上させることで、より多くの得点を奪うことができるだろう。
開幕戦は湘南に軍配が上がったが、両チームともシーズンを通しての成長が期待される。次節の戦いにも注目したい。